将棋序盤好きの小言

将棋の定跡や自戦感想戦を載せます。

横歩取り勇気流~52玉76飛②(36手目39との進行)

どうも、タネタです。

 

横歩取り勇気流の序盤から中盤にかけての指し手を検討していく記事です。

 

本記事では勇気流対△5二玉・7六飛型、相横歩取りの形から

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(20手目 7六飛まで)
後手が36手目に△3九とと、先手玉側へとと金を活用する進行について

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(36手目 3九とまで)

プロの進行で代替手が示されていた局面からの変化を見ていきます。

この記事では元にしている順位戦A級広瀬ー稲葉戦において

中盤から先手良しになったことを根拠に、

基本的には本譜の進行から後手の代替手を取り上げます。

 

まず一つ目の代替手は

棋譜コメントに記載されていた44手目の局面を見ていきましょう。

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(43手目 6九銀まで)

ここで本譜は△8七歩と手筋の叩きが入りましたが、

▲7七銀と躱されたときに▲8五飛に△8四歩と受けられず

後手困る変化があります。

そこで叩きを入れずに△3三桂と跳ねてどうかということが検討されたようです。

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(44手目 3三桂まで)

 

しかしこの進行は対局時の広瀬八段の読み筋で

▲3三同桂成△同金▲5五角!

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(47手目 5五角まで)

の予定で、これは序盤に乱しておいた▲8二歩が活きた形ですね。

以下△7六桂▲7七玉△4四角▲同角△同歩▲2一飛

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(53手目 2一飛まで)

まで進むと先手良さそうです。

 

ということで代替案①の44手目△3三桂は思わしくないようです。

 

次に46手目の局面を見ていきましょう。

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(45手目 7七銀まで)

この局面が後手にいろいろありそうで、後手の頑張り所だと思います。

棋譜コメントでは

①3三桂②3八角③5九角④8八金(本譜)⑤7三桂⑥4二銀⑦4七と

と7通りの指し手が挙げられています。

また私の検討では(筋は悪いかもしれませんが)⑧7三角もあるようです。

 

①3三桂は8七に歩が残っているので▲8五飛で8二の銀取りを受けるのに苦労があり、後手指しにくく見えます。

▲8五飛△7二(一)金では▲3三桂成△同金▲5五角、

△6四角や△3七角では▲3三桂成△同金▲2一飛(△3二金▲2四桂)、

がそれぞれ厳しいです。

②3八角は▲8五飛の攻めと▲5五角の攻めのどちらでも良さそうですし、

▲2六角で5三の地点と4八のと金取りを見せるのが厳しい手ですね。

 

③5九角は▲7九玉との交換になって、他の候補手との組み合わせになるので省略します。

④8八金は本譜の進行のように金を先手に渡すと、

△8四歩▲同飛△9五角を見越した▲8五飛に△8四歩の受けが成立しなくなるので

指しにくい手と言えると思います。

⑤7三桂は②と同様▲2六角が厳しいです。

⑥4二銀は▲5五角の両取りが厳しく、△7三桂などと攻め味も見せつつ両取りを緩和しようとするのには▲8三歩でかえって忙しくなります。

⑦4七とは有力で

▲5五角△4六角▲同角△同と

▲5五角△6四角▲1一角成△4五と▲2一馬

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(参考図 55手目 2一馬まで)

と進むと先手飛車香、後手金で先手が大きく駒得し馬も作れているのですが、

次の後手の△4六角が油断ならない一手で

△5六桂からの寄せを目指しているので

簡単に有利不利の結論は出せなさそうです。

(△4六角で評価値は+200程度を示しますが、

数手進むと先手後手ともに大反省(評価値が大きく変動する)ことが散見されるため、

ここから先は対局者同士で考えてくれっ泣)

 

最後に⑧7三角です。

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(46手目 7三角まで)

手の意味としては8八の銀にヒモを付けつつ、

1九角成で馬を作りつつ香車を取る手も見せているというところです。

ここで△5九角の筋もなくなったし、と油断して△8七金と自陣に手を入れると

△1九角成~△6四馬で玉頭を手厚くされると先手の攻めが難しくなるので

先手もあまりゆっくりしていられないです。

そこで△1九角成に▲2二歩から攻め合ってどうかですが、やはり難解な形勢です。

後手の△4七と~△4六馬が怖い攻めですし、

後手の持ち駒に金がある限りは広瀬-稲葉戦のような

▲4一角△同玉▲5三桂不成△5二玉▲6一桂成△同玉▲5三金の攻めも

△6二金で受かります。

 

▲8七金は実戦で指すうえでは悪くない手だと思いますが、

事前に準備していくのであれば先手でもう少しさっぱりした手を選びたいと思っています。

ハメ手のようなふわっとした手としては、

△7三角に▲4六歩はあります。

うっかり△4六同角とすると▲5六飛で△5五金には▲4六飛~▲8六飛で金or銀得になりそうです。

▲5六飛に△6四角がもっともマシですが、

▲2二歩を効かせてから△同銀に▲4六角で

6二か4二に金を打つしか受けが無くなり先手良しと言えそうです。

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(53手目 4六角まで)

 

また、▲2二歩に△3三桂と躱す手も考えられますが、

▲3三同桂成△同金▲2一飛で

i)△3二金には▲2三桂が厳しいです。

ii)△3二銀にはいったん▲1一飛成と逃げておいて

次の▲2一歩成~▲2二とが厳しいです。

 

先手良さそうに見えるのですが、▲4六歩に△4二銀とされると

後手玉頭が手厚くなり後手の陣形がしっかりするので、先手の攻めが少し軽いです。

 

この▲4六歩と△4二銀の交換は後手得に見えます。

 

△4二銀の後に▲2二歩が手抜かれるなら先に▲2二歩決めてみようということで

△7三角に▲2二歩はどうでしょうか。

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(47手目 2二歩まで)

 

自然は△2二同銀ですね。

欲張って△3三桂と躱すのは

先ほど出た順と同様に▲3三同桂成△同金▲2一飛の筋が決まります。

 

さて、△2二同銀に対して▲3五角が継続の攻めです。

やはり玉頭を攻めていくのですね。

同じようでも▲2六角は、4八のと金取りなのですが、このと金を取ると

△1九角成~△4四香が来るので、▲4八角とはできません。

 

△4四金とはじきに来る手も気になりますが、

▲5三桂成△同玉▲4一飛△5一歩▲4四角と金を取ってしまって

後手玉に寄りがありそうです。

 

後に▲4六角として角をぶつける変化もあるので、

角は3五から打つのがポイントです。

 

▲3五角に△6四角で受けるのが後手の柔軟な対応ですが、

▲8五飛と強硬に攻めに出て△7二金打(7一もある)と受けさせることができれば

▲8七飛と歩を払っておいて先手が相当負けにくい形になっています。

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(53手目 8七飛まで)

なおこの局面で評価値は-100~+200程度をふらふらしています。

 

途中に更なる変化もあるかもしれませんが、

この進行では△8七歩▲7七銀から

⑦4七と

⑧7三角

が有力で、難解な終盤になりそうです。

先手は⑦4七とに対しては5五角の両取りから桂香を拾い、

△4六角~△5六桂に対して、徹底的に受けて余して勝つか、

1二飛などから攻め合い勝ちを目指す展開になりそうです。

⑧7三角に対しては▲2二歩を効かして

▲3五角から玉頭を狙う、8筋に飛車を攻防で効かす展開になりそうです。

 

今回はここまでとします。

これらの変化については、

自分で実戦を指してみてからさらなる検討を進めようかと思います。

 

序盤についての記事なのにどっぷり終盤検討になってて

やっぱり横歩やんなーという気分です(ヽ''ω`)ゲッソリ

 

次回は1九と~4四香の進行について

検討した記事を書く予定です。

また時間かかると思いますが、どうぞお付き合いくださると幸いです。