横歩取り勇気流~85飛-25飛型⑥(27手目46歩の進行)
どうも、タネタです。
横歩取り勇気流の序盤を勉強していく記事です。
いろいろ検討しましたが、
やはりあとは実戦を重ねて定跡の進行を見守るのがいいかなー
と思ってしまっている今日この頃ですが
検討した分は記事にしようかと思います。
さて、前回までの記事で
勇気流に対し後手が8五飛~2五飛として2筋に歩を打たせる展開では
①27手目8四歩
(27手目 8四歩まで)
の進行と
②27手目4六歩
(27手目 4六歩まで)
の進行があり、
①27手目8四歩は、一見不安定な歩ながら飛車をいじめられたときに
手順に8五飛と回る手が飛車先逆襲を見据えていたり、
4五桂~5三桂成同玉7五角の王手飛車を見せていたり、
と様々な変化の中で盤面全体を使って支えられている歩でした。
しかし、8四歩に7二銀と立っておくと、先手からのすぐの攻めは意外と難しく
以降は6~8筋での空中戦でじりじりとした展開になりそう
というところまでは見てきました。
②27手目4六歩の進行は実戦例が少なく(手元には1局のみ)
定跡といえるほどの蓄積はまだないのですが
後手は指したい手がたくさんあるものの、
動かす駒が難しい局面なのではないかと考えています。
今回の記事では、この②27手目4六歩に対して
後手はどのような手を指してくるのか、いくつか検討してみたいと思います。
本記事の基本図
(再掲 27手目 4六歩)
前回の記事の後半で紹介した実戦では
28手目に5二金としたため、8四歩が厳しい攻め筋として成立する展開となりました。
28手目の候補手①5二金はこの実戦の進行で先手良しと結論付けることにします。
(実戦:2017/10/10 順位戦C1 佐々木勇気-宮田敦史)
28手目の候補手②6二銀
後手がゆっくりしたい展開について見てみましょう。
横歩取りの後手の持久戦と言えば中原囲いですね。
ということで28手目に6二銀としてみましょう。
急戦形の将棋をよく指す人なら、この局面はぜひ強く戦ってみたい局面ですよね!
(※感想は個人の意見で善悪を保証するものではありません)
動き方は何通りかあるのですが
▲3三角成~▲8三歩~▲8四歩~▲8三角で決まっていれば
もっとも変化の余地が少なそうです。
(35手目 8三角まで)
手順中後手が変化するとしたら3三角成に同金と飛車に当てるくらいですが
▲8三歩△同飛▲8四歩△8二飛▲3三飛成△同桂▲8三金として飛車を取り返せるので駒損なく攻めることができそうです。
▲8三金以降、△8三同飛▲同歩成の局面で
(参考図 39手目 8三同歩成まで)
先手は次に▲8二角から桂香を拾う狙いと
▲3五歩~▲3四歩と桂頭を狙っていく手があるので攻めには困らなそうです。
本譜に戻りまして8三角の局面です。
(再掲 35手目 8三角まで)
6一の金取りと5六角成~8三歩成の狙いがあります。
両方を受けるには△7一金~△7二金です。
(38手目 7二金まで)
馬ができて先手が良さそうです。
やはりいきなり6二銀から中原囲いに行くのは危なそうですね。
8四歩~5六角~8三歩成の攻めがいつでもあるので
△5一金~△6二銀として中原囲いに行くのも危なそうです。
▲8四歩の拠点が嫌味な展開が多いので△7二銀と8三の地点を厚くしてみましょう。
28手目の候補手③7二銀
ここでいつも通り▲8四歩としていくのは△6四歩が厄介です。
6四同飛は角交換から8六角の王手飛車があります。飛車の横効きがとまったままでは
せっかくの8四の拠点が払われてしまいますね。
ここで先手から暴れる順(評価値-100~+150ほど)もあるのですが
そもそも8四歩を垂らす一手とは限らないので別の攻め筋を考えてみましょう。
4五桂と跳ねていく攻めも自然に見えますね。
以下、△8八角成▲同銀△3三歩で飛車を4段目から動かして4四歩で急がされると
先手の攻めが無理していそうですね。
(参考図 34手目 4四歩まで)
どうやら、この7二銀型は意外と強敵なようです。
いったんじっと8七歩とおさめに行きましょう。
後手がうっかり△2二銀としたら▲4五桂△8八角成▲5三桂成!
△同玉▲3二飛成△4四馬(5五馬もある)▲3四金△5五馬▲4三金△6四玉▲7七桂と進み、
(参考図 41手目 7七桂まで)
角金交換で駒損ながら竜を作ることができ、先手の攻めと後手の受けという形になります。
評価値は先手がすこし有利といった程度なので、攻め間違えると大変なことになりますが
後手の玉形があまりにも不安定なので先手勝ちやすそうです。
そこで△8八角成▲同銀△2二銀が安全な手順です。
▲7七桂△3三銀▲3五飛△6四歩(いろいろあり得る)▲6六角が一例で
先手は以降、角のラインを活かして手を作りに行く展開になりそうです。
現状は先手が歩を使うことができないのですが、
3,4筋の歩を切る展開になれば攻めに迫力が増してきそうです。
このように28手目の候補手③7二銀ではすぐさま先手の攻めが決まる形は見つかりませんでした。
しかし、基本的には先手の攻め対後手の受けという構図にはなりそうです。
先手に事前準備があれば、主導権を握って互角以上で指せそうな展開でしょうか。
今回は挙げなかった候補手で有力なものもおそらくあるのでしょうが
8四歩から8五飛の飛車先逆襲や8三角の馬作り、5六角から8三歩成
4五桂~5三桂成で王手〇〇取りを狙う
7七桂~4五桂、6五桂の2枚桂
6六角と設置して、4五歩~4四歩や3五歩~3四歩
など先手の攻め筋は多くありますので
どの変化でも先手は攻めを中心に考えて生きるのではないかと期待しています。
今後の実戦でこの形の定跡がどんどん整備されていくのを楽しみしながら
85飛-25飛型の記事をいったんおしまいにしたいと思います。
次回からは勇気流対策でもっとも研究量がものを言っていそうな展開である
対策④52玉76飛を見ていく予定です。