将棋序盤好きの小言

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横歩取り勇気流~85飛-25飛型②(後手の変化球24手目44歩)

どうも、タネタです。

横歩取り勇気流の序盤について勉強していく記事です。

 

今回は横歩取り勇気流の基本図から

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(横歩取り勇気流基本図 17手目6八玉まで)
後手が8五飛~2五飛として、先手に2筋に歩を使わせた後

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(23手目 3七桂まで)

定跡(プロの実戦の進行)では△8二飛と引くところを、

変わる手を後手が選択した場合

どのように先手は対応していくのか、

というところをソフト検討を基に考えていきます。

 

第一に、直前の▲3七桂から次の4五桂を見せられているので

後手はこれを受ける手を指す場合を見ていきます。

もっとも直接的に▲4五桂を防ぐ手は△4四歩ですね。

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(24手目4四歩まで)


これに対し、私のおすすめの先手の手は▲3八銀です。

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(25手目 3八銀まで)

 

ここでまた後手にいろいろ指し手が考えられるところですが、

例えば強気に△8六歩と8筋の攻めを見せてきたらどうでしょう。

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(26手目 8六歩まで)

ここで▲3五飛と飛車をぶつけていくのが、

勇気流の陣形を活かした面白い手だと思っています。

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(27手目 3五飛まで)

後手陣もほぼ初形で飛車の打ち込みは多くありませんが

先手陣は飛車打ちに強い陣形になっています。

 

仮に△8二飛と逃げるのであれば、

▲8五歩~▲6六角~▲8四歩~▲8五飛として

飛車先の逆襲をみせつつ、飛車を8筋で安定させることができれば

先手指しやすそうです。

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(37手目 8五飛まで)

(▲3五飛以下の)手順例:

△8二飛(疑問)▲8五歩△6二銀▲6六角△6四歩▲8四歩

△6三銀▲2五飛△2二銀▲8五飛

以下、後手が7四銀と飛車に当ててくる手には

▲8三歩成とあくまで飛車の取り合いを迫って、

△8五銀は▲8二とで先手が駒得を重ねられそうです。

▲8三歩成△同銀は▲8六飛で先手の飛車が安定し

先手指しやすそうです。

 

ということで、27手目に▲3五飛と飛車をぶつけたときに、

後手は逃げていては明るい未来を望め無さそうです。

27手目▲3五飛△同飛▲同歩が自然な進行と考えられます。

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(29手目 3五同歩まで)

ここで生じた隙間に△3六歩とねじ込んで、桂頭攻めが見えますが

▲2五桂と角当たりで躱すことができます。

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(31手目 2五桂まで)

△4二角や△2四角と逃げるのは

▲4四角と角まで活用されて後手苦しいです。

かといって△2二角と引くのは

▲8五飛や▲8四飛と打っておいて

後手の打った8六の歩が泣き所になります。

 

このような進行が考えられるため、

26手目に△8六歩と打った局面からのソフトの形勢評価は

先手に+250点ほど(技巧2で深さ25)です。

一般に初形での評価値は先手約+100と言われていますので

やや先手がポイントを稼ぐことができていると思われます。

(余談、

35飛同飛同歩25桂に15角と躱し、

16歩37角成の進行がソフトでは本線のようですが、

筆者にはよくわからない攻め合いになったので、

この記事でその進行は取り上げません。)

 

再び25手目3八銀の局面に戻って考えてみましょう。

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(再掲25手目 3八銀まで)

 

先ほど、▲3五飛から飛車をぶつけてくる順がありましたので

後手も飛車に強い陣形を作ろうと△7二銀とする順も見てみましょう。

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(26手目 7二銀まで)

やはりここでも▲3五飛が良いようです。

以下先ほどの変化と同様に進んだときに

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(31手目 2五桂まで)

手順:

▲3五飛△同飛▲同歩△3六歩▲2五桂

やはり△4二角や△2四角では▲4四角でマズいので

△2二角としたいのですが、△7二銀としたために

▲8二歩で駒損確定でやはりマズいです。

 

△7二銀型の8筋に強いメリットが生かそうと、

△8二飛と飛車交換を拒む順は考えられるかもしれません。

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(28手目 8二飛まで)

 

ここで先ほどと同様に▲8五歩から8筋逆襲を目指してみましょう。

▲8五歩△4三金▲6六角△3四歩▲6五飛△5四金▲2五飛△2四歩

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(36手目 2四歩まで)

△4三金~△5四金が力強い構想で

△2四歩まで指すことで、▲8五歩を取りきることができます。

形勢は先手+200ほどで悪いわけではないのですが

8筋逆襲が成立しないのであれば、

▲8五歩や▲6六角以外の手を選んでみたいですね。

 

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(再掲28手目 8二飛まで)

8筋逆襲に替わる手として、▲4六歩が面白そうです。

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(29手目 4六歩まで)

ここからは先手後手ともに手が広いところかと思いますので、

一例程度になりますが、

45歩から3,4筋が戦場になることが考えられ、

45桂から53の地点を狙うような攻めが考えられます。

したがって、△6二玉と戦場から遠ざかりつつ

53の地点にも紐をつける手は考えられます。

そこで勢いよく▲4五歩か、

▲8五歩と高く抑えてから仕掛けるか、

▲8七歩と大人しく収めてから仕掛けるか、

を選択していく展開が予想されます。

どちらにしても、先手に仕掛けの主導権があり

工夫のし甲斐がありそうな局面ではないでしょうか。

 

長くなりましたので、今回の記事はここまでで終えます。

 

勇気流対策として、85飛-25飛の形を採用した後手が

24手目4四歩として▲4五桂を防いだ場合

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(24手目 4四歩まで)

先手は▲3八銀と整えてから▲3五飛とぶつけていくのが面白い展開で

飛車交換から桂頭攻めには、85飛など飛車を急所に打ち下ろして

攻め合い勝ちを狙う展開、

△8二飛と飛車交換を拒む手には、

・▲8五歩~▲6六角以降、8筋逆襲を狙うか

・4六歩から4筋で手を作っていくか

という展開

になるのではないでしょうか。

 

次回の記事では

85飛-25飛型で24手に82飛としない順のパート2として

44歩以外の手を見ていきたいと思います。