横歩取り勇気流~85飛-25飛型②(後手の変化球24手目44歩)
どうも、タネタです。
横歩取り勇気流の序盤について勉強していく記事です。
今回は横歩取り勇気流の基本図から
(横歩取り勇気流基本図 17手目6八玉まで)
後手が8五飛~2五飛として、先手に2筋に歩を使わせた後
(23手目 3七桂まで)
定跡(プロの実戦の進行)では△8二飛と引くところを、
変わる手を後手が選択した場合
どのように先手は対応していくのか、
というところをソフト検討を基に考えていきます。
第一に、直前の▲3七桂から次の4五桂を見せられているので
後手はこれを受ける手を指す場合を見ていきます。
もっとも直接的に▲4五桂を防ぐ手は△4四歩ですね。
(24手目4四歩まで)
これに対し、私のおすすめの先手の手は▲3八銀です。
(25手目 3八銀まで)
ここでまた後手にいろいろ指し手が考えられるところですが、
例えば強気に△8六歩と8筋の攻めを見せてきたらどうでしょう。
(26手目 8六歩まで)
ここで▲3五飛と飛車をぶつけていくのが、
勇気流の陣形を活かした面白い手だと思っています。
(27手目 3五飛まで)
後手陣もほぼ初形で飛車の打ち込みは多くありませんが
先手陣は飛車打ちに強い陣形になっています。
仮に△8二飛と逃げるのであれば、
▲8五歩~▲6六角~▲8四歩~▲8五飛として
飛車先の逆襲をみせつつ、飛車を8筋で安定させることができれば
先手指しやすそうです。
(37手目 8五飛まで)
(▲3五飛以下の)手順例:
△8二飛(疑問)▲8五歩△6二銀▲6六角△6四歩▲8四歩
△6三銀▲2五飛△2二銀▲8五飛
以下、後手が7四銀と飛車に当ててくる手には
▲8三歩成とあくまで飛車の取り合いを迫って、
△8五銀は▲8二とで先手が駒得を重ねられそうです。
▲8三歩成△同銀は▲8六飛で先手の飛車が安定し
先手指しやすそうです。
ということで、27手目に▲3五飛と飛車をぶつけたときに、
後手は逃げていては明るい未来を望め無さそうです。
27手目▲3五飛△同飛▲同歩が自然な進行と考えられます。
(29手目 3五同歩まで)
ここで生じた隙間に△3六歩とねじ込んで、桂頭攻めが見えますが
▲2五桂と角当たりで躱すことができます。
(31手目 2五桂まで)
△4二角や△2四角と逃げるのは
▲4四角と角まで活用されて後手苦しいです。
かといって△2二角と引くのは
▲8五飛や▲8四飛と打っておいて
後手の打った8六の歩が泣き所になります。
このような進行が考えられるため、
26手目に△8六歩と打った局面からのソフトの形勢評価は
先手に+250点ほど(技巧2で深さ25)です。
一般に初形での評価値は先手約+100と言われていますので
やや先手がポイントを稼ぐことができていると思われます。
(余談、
35飛同飛同歩25桂に15角と躱し、
16歩37角成の進行がソフトでは本線のようですが、
筆者にはよくわからない攻め合いになったので、
この記事でその進行は取り上げません。)
再び25手目3八銀の局面に戻って考えてみましょう。
(再掲25手目 3八銀まで)
先ほど、▲3五飛から飛車をぶつけてくる順がありましたので
後手も飛車に強い陣形を作ろうと△7二銀とする順も見てみましょう。
(26手目 7二銀まで)
やはりここでも▲3五飛が良いようです。
以下先ほどの変化と同様に進んだときに
(31手目 2五桂まで)
手順:
▲3五飛△同飛▲同歩△3六歩▲2五桂
やはり△4二角や△2四角では▲4四角でマズいので
△2二角としたいのですが、△7二銀としたために
▲8二歩で駒損確定でやはりマズいです。
△7二銀型の8筋に強いメリットが生かそうと、
△8二飛と飛車交換を拒む順は考えられるかもしれません。
(28手目 8二飛まで)
ここで先ほどと同様に▲8五歩から8筋逆襲を目指してみましょう。
▲8五歩△4三金▲6六角△3四歩▲6五飛△5四金▲2五飛△2四歩
(36手目 2四歩まで)
△4三金~△5四金が力強い構想で
△2四歩まで指すことで、▲8五歩を取りきることができます。
形勢は先手+200ほどで悪いわけではないのですが
8筋逆襲が成立しないのであれば、
▲8五歩や▲6六角以外の手を選んでみたいですね。
(再掲28手目 8二飛まで)
8筋逆襲に替わる手として、▲4六歩が面白そうです。
(29手目 4六歩まで)
ここからは先手後手ともに手が広いところかと思いますので、
一例程度になりますが、
45歩から3,4筋が戦場になることが考えられ、
45桂から53の地点を狙うような攻めが考えられます。
したがって、△6二玉と戦場から遠ざかりつつ
53の地点にも紐をつける手は考えられます。
そこで勢いよく▲4五歩か、
▲8五歩と高く抑えてから仕掛けるか、
▲8七歩と大人しく収めてから仕掛けるか、
を選択していく展開が予想されます。
どちらにしても、先手に仕掛けの主導権があり
工夫のし甲斐がありそうな局面ではないでしょうか。
長くなりましたので、今回の記事はここまでで終えます。
勇気流対策として、85飛-25飛の形を採用した後手が
24手目4四歩として▲4五桂を防いだ場合
(24手目 4四歩まで)
先手は▲3八銀と整えてから▲3五飛とぶつけていくのが面白い展開で
飛車交換から桂頭攻めには、85飛など飛車を急所に打ち下ろして
攻め合い勝ちを狙う展開、
△8二飛と飛車交換を拒む手には、
・▲8五歩~▲6六角以降、8筋逆襲を狙うか
・4六歩から4筋で手を作っていくか
という展開
になるのではないでしょうか。
次回の記事では
85飛-25飛型で24手に82飛としない順のパート2として
44歩以外の手を見ていきたいと思います。
横歩取り勇気流~85飛-25飛型①(序盤の流れと分岐)
どうも、タネタです。
横歩取り勇気流の序盤の定跡を勉強していく記事です。
前回までは勇気流に対して、
後手が2二銀・8二飛に構える展開について見ていきました。
今回からは別の後手の勇気流対策として
△2五飛と回って、先手に▲2八歩と2筋に歩を打たせる展開を見ていきます。
以前書いた後手の対策②の形です。(↓以前の記事)
まずは勇気流基本図の局面から見ていきましょう。
(勇気流基本図 17手目▲6八玉まで)
ここから△8五飛と一つだけ引くのが後手の狙いです。
(18手目△8五飛まで)
この局面で次の△2五飛を防ぐのが難しいです。
▲3八金として△2五飛に▲2七歩としてもダメではないと思いますが、
それは後手の言い分が存分に通って先手としてちょっと面白くない展開です。
そこで△2五飛を防がず、▲3六歩と桂馬の活用を急ぎます。
(19手目▲3六歩まで)
後手は狙い通り△2五飛としてきます。
先手も大人しく▲2八歩と土下座しておきましょう。
(21手目▲2八歩まで)
ここで後手が変なことをしていると、
▲8四飛として後手にも8筋に歩を謝らせることができます。
あるいは、▲3七桂と飛車にあてつつ攻めの桂馬が跳ねだしていけます。
したがってここは後手もすぐに△8五飛と戻っておくところです。
(22手目△8五飛まで)
このように序盤で飛車を△8五飛~△2五飛~△8五飛とブンブン振り回していくのが
今回タイトルにも書いた勇気流への対策85飛-25飛型です。
22手目△8五飛の局面では先手の指し手に▲3八銀と▲3七桂があるのですが、
基本的に大差はないです。
このブログでは、本筋ではないのですが急戦になった場合に得をしたいので
▲3七桂を選択していきます。
(23手目▲3七桂まで)
ここで先手としては一応おさえておきたい変化があります。
プロの実戦では△8二飛の一手なのですが、
この局面をソフトに検討させると、
「△8二飛以外の手でも互角」という評価になっています。
アマチュアの短時間の将棋で、ここで変化されると
相手に研究がありそうで少し怖いところがありますね。
しかし、ソフトの読み筋を追っていくと、
比較的後手に苦しそうな手が多く
きちんと指せば先手やれそうな雰囲気でした。
85飛-25飛型の記事では
・「24手目82飛以外の展開」をまずは調べていこうと思います。
次に
24手目△8二飛に対して速攻を仕掛けていく
・「25手目▲8三歩」の展開を見ていく予定です。
(25手目▲8二飛まで)
個人的にはここまでは変化の一つと見ています。
これ以降にとりあげる
先手3七桂・3八銀の形を作ったところからの展開が本筋なのかなと思っています。
(25手目▲3八銀まで)
この局面で△4四歩は45桂を警戒したありそうな一手ですが、
6八玉型を活かした攻めが飛んできます。
したがって最近の実戦例ではここで△4二玉とすることが多いです。
そのあたりの展開を見て
勇気流対策85飛ー25飛型の記事をいったん終える予定です。
近いうちに
「24手目82飛以外の展開」の記事から書いていく予定です。
よろしくお願いします。
横歩取り勇気流~22銀82飛型⑤(角交換から44角)
どうも、タネタです。
前回の9/13投稿記事で22銀82飛型をいったん終わりにしようと思っていたのですが
さっそく9/14に22銀82飛型で新しい形を見かけたので、
すこしだけ、その変化を見ていきます。
実戦は2017年9月14日順位戦C級2組4回戦石田直裕五段-三枚堂達也五段戦です。
22銀82飛型で、先手が35飛~38銀と立ったところまではよくある進行です。
(23手目3八銀まで)
細かい違いとしては、私の記事では後手の42玉型と41玉型について、あまり区別せずに見てきましたが、
後手が速攻を狙っている場合には、42玉型が多いですね。
一方、後手が堅く囲う(中原囲いを目指す)場合には41玉型が多いです。
さて、ここで、後手が8八角成~4四角と飛車取りと88地点での2枚替えを狙ってきます。
(手順:24手目△8八角成▲同銀△4四角まで)
(26手目4四角まで)
前回の記事でも似たような筋を少しだけ紹介しましたが、
実戦ではここで▲6六角と角を打ちました。
(27手目6六角まで)
ここで△3五角も△6六同角もあるところだと思いますが、
実戦例では△6六同角と進行しました。
(28手目6六同角まで)
以下、▲6六同歩△3三桂▲7七桂△7二銀▲2四歩と進みました。
この▲2四歩がどれほどの手なのか、イマイチよくわかっていないのですが
露骨に2三角と打ち込んで金か銀と交換しに行ったり、23歩成の筋から33地点を薄くしたりする筋など、厳しい攻め筋を見た手なのかと思っています。
(33手目▲2四歩まで)
このあたりから、先手は3七桂~4五桂や6五桂などと、中央に桂馬を活用していく手を攻めの軸に、それを厳しくする味付けをどれだけ重ねられるか、が考え所なのかと思っています。
先手の▲2四歩から△8四飛▲3七桂△2七歩と進みました。
(36手目2七歩まで)
△8四飛は次に24の歩を取ってしまおうという狙いなのかと思ったのですが、
すぐに2四飛としますと、▲8二歩で桂馬が取られてしまいますし、△2八飛成と攻め合っても、▲8一歩成~▲3四桂が厳しい攻めなので、先手が攻めて行けそうです。
▲3四桂を防ぐ△3四歩は格言通りの手で飛車取りにもなるのですが、
▲8五飛と手順に攻められてしまいますので、やはり先手の攻めが厳しそうです。
(36手目を△2四飛とした場合)
36手目△2七歩を替えて△2四飛として場合の手順例:
①▲8二歩△2八飛成▲8一歩成△2七角▲3四桂
(41手目3四桂まで)
②:▲8二歩△3四歩▲8五飛△2八飛成▲8一歩成△2七角▲2九歩!(好手)
(43手目2九歩まで)
などの進行がありそうです。
△2七角に替えて気の利いた攻めがあれば良いのですが・・・
私程度の棋力では見えてないです。。。
実戦では△2四飛と歩を払うことなく、△2七歩として攻め合いに出ました。
(再掲36手目2七歩まで)
△2七歩以下、実戦ではいよいよ先手の桂馬が攻めに活躍していきます。
▲2五桂△2八歩成▲3三桂成△同銀▲4五桂△3四銀▲5三桂成
(43手目5三桂成まで)
技巧2で検討したところによれば、この▲5三桂成の感触が良くないようです。
替えて▲6五桂と中央に足していき、
△3五銀(他の手もあり得る)▲5三桂左成△5一玉▲2三歩成(△同金は▲4二角以下後手玉相当危ない)△4四銀▲3二と△8六角▲7七銀(△5三銀は▲8六銀が▲4二角以下に詰めろ)△5三角▲同桂成△同銀▲7五角△8九飛成▲5三角成
(57手目5三角成まで)
と一直線に進んだ場合、△6九飛から王手が相当続くものの先手玉に詰みはなく、後手玉は受けが難しそう(読み切れてはいないですが)ので、先手やれそうです。
この変化の途中で後手に変化を見つけるか、43手目▲6五桂への応手△3五銀を替えるかが必要になりそうです。
実戦では43手目▲5三桂成以降
(再掲43手目5三桂成まで)
先手後手ともに厳しく攻め合いますが、三枚堂五段のTwitterにもありましたように、
58手目▲5九角△7九玉▲8七桂で先手玉は捕らえられてしまいました。
おそらく本譜を下敷きに先手後手の改善策がプロの公式戦で現れる日がいつか来ることを願って、本記事は終わりにします。
最後になりますが、本記事で取り上げた実戦は名人戦棋譜速報サイトにて有料会員登録をすることで閲覧可能です。
43手目以降の手順が気になる方はそちらでご確認くださるようお願い申し上げます。
横歩取り勇気流~22銀82飛型④(38銀に△27歩)
どうも、タネタです。
横歩取り勇気流の序盤を勉強していく記事です。
前回までで、
勇気流に対し後手が2二銀・8二飛型に構える展開では
(20手目△8二飛まで)
21手目に①3五飛か②3七桂のどちらも有力そう、という内容を見ていきました。
今回は3八銀とたった形に対して△2七歩と形を乱しに来る手について取り上げます。
プロの実戦では2017年1月14日朝日杯行方-佐藤天戦を見ていきます。
(24手目△2七歩まで)
21手目▲3五飛以降、△4二玉▲3八銀△2七歩と進んで画像の局面です。
ここで本譜の進行は自然に▲2七同銀です。
そこから1九の香車が受からない展開まで直線的な進行です。
(32手目△2八角まで)
手順:▲2七同銀△8八角成▲同銀△2八角▲3七角△同角成▲同桂△2八角
ここから▲4五桂△1九角成▲8三歩と進みました。
この叩きの歩が良い手で、△8三同飛だと守りに効いていた飛車の横効きが消えるので、
▲5三桂成から▲3二飛成を狙って先手の攻めが決まってしまいそうです。
従いまして、本譜は△9二飛としましたが、▲7七桂として2枚の桂馬が攻めに活用できそうで先手が気分よく攻めていける展開と言えそうです。
これ以外の△2七歩の反撃の筋を実戦譜からは見つけられなかったのですが、
もう少し別のパターンの反撃についても見ていきます。
一つ目は、△2七歩▲同銀△8八角成▲同銀△4四角です。
(28手目△4四角まで)
前にも一度出てきました、88地点での2枚替えと35の飛車取りの両狙いを受けることはできません。
この局面で先手の対策の手が広く、私の棋力ではどれが最良か判断できないのですが、
A. 7七角(同角成同桂で桂馬が跳ねられる&77角のラインを活かして35歩~34歩と攻める)
B. 6六角(同角なら同歩で88の2枚替えが緩和される、77角よりも84歩と抑える手がある分はたらきが良い)
C. 8三歩同飛を入れてから66角or77角(飛車の横効きを消して、84歩と先手で飛車先を止めることもできる)
などいくつか有力そうな変化がありそうです。
この3つの変化の検討は、しばらく先の記事ですが、
角交換から3三金の変化で行う予定です。
(22手目△3三金まで)
もう一つの変化として△2八歩を見ていきます。
(手順は△2七歩▲同銀△2八歩)
(26手目△2八歩)
後手は歩切れになりますがと金はできそうです。
以降、3七桂と逃げておいて、△8八角成▲同銀△2九歩成に▲7七角(または6六角)と打っておいて、先手がやれそうかもです。
(31手目▲7七角まで)
先手の狙いとしては、▲2二角成△同金▲3一銀という攻めがありますので、
次に8三歩と叩いていく手もあるかもしれません。
例として、画像局面から△1九と▲8三歩として、後手の飛車の働きを悪くできます。
また、画像局面から△2八と、と銀取りを見せる手も考えられるところではありますが、
これは▲4五桂と跳ねていく筋が迫力満点で先手好調のようです。
▲4五桂△2七との進行は
▲2二角成△同金▲3一銀で
i)△4一玉は▲5三桂不成
ii)△5一玉は▲2二銀不成(or成どちらでも可?)~▲3一飛成
が厳しく先手優勢です。
2七とを替えて▲4五桂に△4四角と受ける手はありますが、
ここでも▲8三歩が間に合います。(同飛は44角同歩53桂成)
やはり飛車は横に逃げるしかありませんが、
▲2六銀といったん銀を逃げつつ△3五角に同銀を用意して
45の桂馬が安定します。
また飛車を52に逃げますと、▲4四角△同歩▲1六角という手もあるようです。
(39手目▲1六角まで)
進行の例として
ア) △4五歩▲5二角成△同金▲6一飛
(43手目▲6一飛まで)
次の71の銀取りと21の桂取りが受からない。
イ) △4二角▲5二角成△同玉2四飛
(43手目▲2四飛まで)
次に44の歩を外されるとたまったものではないが、▲3二飛成△同角▲2二飛成は大事件。
ということで、26手目△2八歩~2九歩成の攻めは
先手の77(or66)の角のラインと45桂の攻撃力が高く、先手も十分やれそうな感じです。
1九とや2八とでは乱暴すぎるということで、
(再掲31手目▲7七角(or6六角)まで)
から△3三桂などとして▲2二角成からの攻めを緩和するのも考えられる進行ですが、
(32手目△3三桂まで)
シンプルに▲4五桂と跳ねていき、
a) △同桂▲同飛では▲3四桂が厳しいのでやはり先手が攻めに困ることは無さそうです。
かといって▲4五桂に
b) △1九となどと悠長なことをしていると▲2三歩がきびしい攻めで△同銀なら▲3三桂成から突破されてしまいますので、
△2三同金と取りますが続いて▲2四歩が継続した攻めで
同金などでは33の地点から突破されてしまいます。△3四歩などとしても▲2三歩成から▲3三とが厳しく飛車を取る暇がありません。
以上見てきましたように、先手の38銀49金型を△27歩から乱そうとする手に対しては
機を見て37桂~45桂と跳ねだしていく手が迫力のある攻めで
先手が攻勢をとれそうな変化が多そうです。
角交換から44角として飛車角交換を挑む展開は、後手にとって有力そうな変化ですが
その詳細については、また別の(けっこう後の方の)記事で取り上げていきたいと思っています。
本日の記事は以上です。
今回の変化では、私が将棋ソフト「技巧2」を使用して分岐を見ていきましたので
他に気になる変化がいくつか見られたかもしれません。
「これで先手困ってないの?」「後手にこんな良い手があるよ!」「先手にもっと面白い筋がある!」などのご意見がございましたら、コメントくださるとありがたいです。
追加。。。
当初の予定と棋譜の進行が変わりました。
そっと、前回までの記事のコメントも全て替えました。もし、ご期待されていた内容と違っているようでしたら申し訳ないです。
横歩取り勇気流~22銀82飛型③(21手目35飛)
どうも、タネタです。
前回の記事では
この局面で▲3七桂と跳ねる手を見ていきました。
今回の記事ではプロの実戦例が最も多い▲3五飛の変化を見ていきます。
(21手目35飛まで)
この局面で後手の自然な手は△4一玉または△4二玉です。
それ以外の手では▲3七桂~▲4五桂と跳ねてくる手が厳しくなります。
先手の飛車が3筋にいる場合、32の金に紐がついている形でなければ、先手は桂馬を跳ねるだけで快調に攻めることができてしまいます。
また、この局面で△2三銀と金銀の連結をよくする手もすぐ悪くなる手ではないのですが、33の地点が薄くなってしまうので、場合によっては先手が一気に攻めることができるかもしれません。
攻めの例として▲3五飛△2三銀のあと、▲3七桂△6二銀(悪手)などとすると、▲8四歩△同飛▲3三角成△同桂▲6六角として
以下△8九飛成と飛車取りを逃げると▲3三角成の攻めが厳しく△6二銀の形が壁になっていて後手玉がすぐに寄ってしまいそうですね。
△6二銀が疑問で替えて△4二玉などで一局の将棋にはなると思います。
さて、22手目の局面で△4二玉からの展開を見ていきましょう。
この局面で▲3七桂も悪くないのですが、先手がもう少し欲張った指し方を見ていきます。それが▲3八銀です。(2016年8/8 叡王戦五段戦決勝佐々木勇-八代戦)
28角と打ち込む手が見えるぞ!ということで△8八角成▲同銀△3三桂▲7七桂△2八角▲3七角△同角成▲同桂△2八角と進みました。
この局面で香損しそうだが、歩得&手得していて先手がやれそうだと佐々木勇気棋士がniconico動画の自戦解説のときに言っていたと思います。
ということで、△2八角と打ち込む以外の後手の攻め方を考える必要がありそうです。
その例を次に見ていきます。(2016年12/25 王位戦佐々木勇-中村太戦)
87歩としないのなら86歩と垂らしていく攻めがシンプルながら有力かもしれません。以降の実戦でもさまざまな形で86歩からの攻めが出てきています。
この△8六歩には▲8五歩と受けるのが大切なところです。
以降陣形整備を進め(△4二玉▲3八銀△6二銀▲3七桂)△6四歩に▲2四歩から攻め込んだ先手がリードを奪っていったようです。
早めに△8六歩と垂らしてもあまり響かないようだったので、後手が堅く囲う展開が現れました。(2017年2/24 王位戦佐々木勇-豊島戦)
(21手目▲3五飛まで)から
△4一玉▲3八銀△6二銀▲3七桂△5一金と進み、後手は中原囲いに組みました。
(26手目△5一金まで)
ここで先手の指し手がいくつかあるようで、この対局で佐々木勇気棋士の選択は▲4六歩でした。この▲4六歩にどのような意味合いがあるのかはよくわかっていないのですが、次の▲2五飛~▲2三歩の攻めが厳しく先手が一気に攻め込むことができたようでした。
▲4六歩以下の指し手△5四歩▲2五飛△8六歩▲2三歩△同銀▲8三歩△同飛▲3三角成△同桂▲2三飛成△同金▲5六角
56角の両取りが厳しく、以下先手がリードを手放さず勝ち切ったように見えました。
27手目に▲4六歩を入れずに▲2五飛も指されています。(2017年7/5 王座戦斎藤-稲葉戦)
(26手目△5一金まで)から
▲2五飛△8六歩▲8五歩△7四歩まで
(30手目△7四歩まで)
ここで斎藤慎太郎七段の▲7七金がすごい手だなぁと思いました。
以降機を見て86金と7,8筋を丁寧に守り、3筋からの攻め合いの展開となったため、後手の42玉が戦場に近く、先手の68玉が戦場から遠く、先手が非常に戦いやすそうな展開と言えると思います。
(46手目△3六歩まで)
これまで見てきたように、21手目に3五飛を選択した場合、後手は中原囲いに組み、△8六歩などから反撃を狙う展開になりそうです。
21手目に3七桂を選択した場合、角交換から△3三銀の変化を後手に選ばれると
この局面までは一直線でしたね。
この局面を深く研究するか、
21手目に▲3五飛を選択して、後手に堅く囲われても、十分で確実な攻めを狙う展開にするか、
のどちらがやれそうかを自分で判断して21手目を選択すると良いのかなーと思います。
今回はここまでとしたいと思います。
プロの棋譜の公開に関して日本将棋連盟では慎重な態度をとっているようですので、私のブログでは棋士の棋譜を全て紹介する、ということは行わない方針です。
しかし、今回紹介した対局の棋譜やこれまで公開した対局の棋譜は攻め筋など大変勉強になる部分が数多くあるように感じています。
この記事で興味を持たれましたら、棋戦ごとに棋譜を公開してあるものもありますので、検索して棋譜を並べてみられることをお勧めします。
次回は▲3八銀に、△2七歩と形を乱しに来る手が来た場合の変化を見ていきます。
横歩取り勇気流~22銀82飛型④(38銀に△27歩) - 将棋序盤好きの小言
横歩取り勇気流~22銀82飛型②(21手目37桂)
どうも、タネタです。
勇気流の序盤をプロの棋譜から勉強する記事です。
今回の記事から局面への評価として「気分良し」と抽象的な表現を使用しますが、形勢に差があるほどではない程度の評価のつもりです。
前回の記事では
この局面で先手の指し手が3通りあるかな、という話をしました。
実戦で最も多いのは①▲3五飛ですが、3五飛以外の手では何か嫌なところがあるのでしょうか?
というところを今回の話題にします。
1つ目の実戦例では2015年12/8の第74期順位戦C級1組7回戦 大平武洋五段(当時)-佐々木勇気五段(当時)を見ていきます。
上の局面から▲3七桂(21手目候補手②ですね。)△8八角成▲同銀△3三銀▲3五飛△4四角と進みました。
(26手目44角まで)
さてこの局面、88の地点での2枚替えと、35角からの飛車角交換の両狙いになっています。
88の地点での2枚替えを許すわけにはいかないので、飛車角交換は甘受するしかありませんね。
形勢は互角なのだと思いますが、序盤で飛車角交換を避けられないのは先手として少し気分が悪いですかね。(序盤は飛車より角とはいえ、私は飛車を取られたくありません。。。)
ですので、もうすこし気分の良い展開にならないと困ってしまいますね。
別の実戦で先手の改善策が登場しました。
その改善策が
(再掲20手目局面)
▲3七桂△8八角成▲同銀△3三銀に▲8三歩!です。
(25手目83歩まで)
飛車取りを逃げないなんてドキドキしてしまいますね。
局面図以下△8三同飛▲8四歩△8二飛▲3五飛△8四飛▲7五角と進みました。
(31手目75角まで)
相手に歩を2枚も渡してしまいましたが、次の53角成が受からず(54飛は45桂で銀桂交換になり先手気分良し)先手がやれそうな展開みたいです。
実戦はここから
△2四飛(2016年10/7王将戦羽生-深浦戦)と
△8二飛(2017年5/26,27名人戦佐藤天-稲葉戦)の
2例があるようですが、どちらも先手が勝っています。
この変化で後手自信無しなら、8八角成からの順を自重するのかもしれませんが、
それなら45桂と跳ねだしていく攻めなど先手の楽しみが多そうな展開だと思われます。
ここまでの内容をいったんまとめます。
21手目に②▲3七桂を選択する場合、
△8八角成~△3三銀と飛車を取りに来る順がやや気になりますが、
▲8三歩~▲8四歩と飛車をたたいてから▲3五飛と逃げ、△8四飛に▲7五角で先手やれるのではないか、ということでした。
この局面からの変化に自信がある場合には21手目に②▲3七桂と跳ねる手も悪くなさそうです。
この先の記事で21手目①3五飛からの変化を考える場合には、この局面と比較しようと思います。
横歩取り勇気流~22銀82飛型③(21手目35飛) - 将棋序盤好きの小言
横歩取り勇気流~22銀82飛型①(21手目の候補手)
どうも、タネタです。
横歩取り勇気流のプロ実戦譜から定跡を勉強していく記事です。
気になる変化などありましたら具体的な指し手を添えてコメントいただけますと幸いです。
今回は前回の記事から
横歩取り勇気流~後手の主な対策(分岐元の形) - 将棋序盤好きの小言
で紹介した勇気流への後手の対策③22銀82飛型の変化を見ていきます。
この形が実戦例が最も多いため最初にこの変化から見ていきます。
(最初に取り上げるのに③なの?と紛らわしくてすみません)
横歩取り勇気流22銀82飛型の基本図は以下の局面です。
(20手目△8二飛まで)
この局面で①▲3五飛が最近よく指されている形です。
通常の横歩取りでは先手が36飛~26飛と戻って、後手の飛車が85または84に移動したときには▲8七歩として手堅く8筋を守っておくのが大切な手です。
横歩取りは先手の歩得・後手の手得と双方に主張のある展開が普通です。
勇気流では36飛~26飛と飛車に2手かけることや87歩と8筋を丁寧に守る手を省略してどんどん攻める形を作っていこう!というのが狙いになります。
そのため勇気流を選んだからには、21手目に▲8七歩は考えないことにします。
では21手目の▲3五飛以外の候補手は?というと、
②▲3七桂が実戦で指されています。
これから何回かに分けて、この21手目の局面から生じる分岐を先手の目線で比較検討していきます。
また、先手が▲3八銀と立った時に△2七歩として形を乱しに来る反撃も
実戦例は少ないですがあるようです。この筋についても後に取り上げる予定です。
次の記事では21手目に②37桂を選んだ場合を見ていきます。