将棋序盤好きの小言

将棋の定跡や自戦感想戦を載せます。

横歩取り勇気流~52玉76飛③(39手目19と)

どうも、タネタです。

横歩取り勇気流の中盤以降の指し手について

ソフトを使って検討していく記事です。

 

※※※複雑な局面、難解な形勢となっているため、ソフトの読み抜けや大反省、

筆者の圧倒的な棋力不足による誤解がある可能性があります。

書かれてある情報を鵜呑みにするのは危険です。※※※

 

____ブログ内で使用した語句として____

本ブログでは勇気流の定跡を先手を持つとして考えていますので、

先手からの変化はなるべく少なく、

後手からの変化はなるべく多く取り上げるつもりでいます。

また、後手の変化については先手は知っている必要があると考えているので

定跡の「分岐」、

先手からの変化は、人によって採用するしないを判断すれば良いと考えているため

定跡からの「変化」という表記にしました。

一般の将棋用語と異なる使用方法であって混乱を招くことがあるとすれば

筆者の知識不足で申し訳ないですが、

お付き合いくださると幸いです。

(もし間違っている場合は正しい用語をおしえてくださると

とてもうれしいです。m(_ _)m)

__________________________________

 

 

前々回の記事にて、勇気流に対し後手が5二玉・7六飛と横歩を取る展開について

プロの実戦譜の進行を見ていきました。

 

横歩取り勇気流~52玉76飛①(実戦の進行と課題局面) - 将棋序盤好きの小言

 

この記事の後半で触れた36手目に△1九とで香車を取る展開について

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(36手目 1九とまで)

 

先手をもっても頑張れそうな筋を探していきたいと思います。

 

1九と以下

▲4五桂△8八角成▲同銀△4四香▲7七銀と進みました。

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(41手目 7七銀まで)

 

この局面で△4二銀が指されました。

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(本記事のテーマ1図 42手目 4二銀まで)

 ここで△4五香も十分に有力なので、後でテーマ2として検討します。

 

 

△4二銀に▲2二歩と先手が攻め込みました。

△4二銀に対して先手も▲5八銀としまっておく手もありそうですが

△7三角が好手で先手から手が出せなくなってしまいそうです。

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(参考図 44手目 7三角まで)

 

先手は5五角から1一角成の攻めと4六歩で桂馬を支えておく手などが

指せたはずなのですが、△7三角でどちらも防がれてしまいます。

 

よって先手は5八銀としまる余裕はなく、

▲2二歩から攻め込んでいくしかない局面なようです。

 

以下、

△2二同金▲5三桂成△同銀

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(46手目 5三同銀まで)

ここで替えて5三同玉もなくはないのですが、同銀が自然ですね。

5三同玉の場合、

▲2三歩△1二金▲4一飛△5二玉

▲2一飛成△3一金▲同龍△同銀▲2一飛

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(参考図 55手目 2一飛まで)

が一例で、先手は攻めていくことができそうです。(形勢はほぼ互角)

 

本譜の進行に戻ります。

46手目△5三同銀以下

▲3一角△3二金▲5三角成△同玉▲4一飛△5二玉

▲2一飛成△3一歩▲2四桂△4二金▲3一龍△4一金▲1一龍

と進み、先手は手順を尽くして龍を作り攻め込みますが、

後手も4筋に金のバリケードを築いて守ります。

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(59手目 1一龍まで)

 

今まで受けに回っていた後手に待望の反撃の手番が回ってきたわけですが、

△4七香成には▲4四歩、△5六歩には▲5五香と

すぐさま反撃が返ってきます。

七香成から検討して見ましょう。

プロの実戦からは後手から変化した攻め筋となりますので

分岐Aと呼びます。

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(分岐A図1(分岐開始局面) 60手目 4七香成まで)

 

後手から強く攻め込んできましたので、

先手も気合で負けじと▲4四歩と反撃していきましょう。

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(分岐A図2 61手目 4四歩まで)

 

ここで△4四同歩と応じるようでは、▲4三歩以下先手の攻めが続く形です。

△4七香成と攻め込んでいったからには後手も負けじと攻める手を指すのが自然です。

 

この形での後手の狙いの攻め筋は△4六角ですね。

次の△5七角成がまともに刺されば先手玉は寄り形に近いです。

 

先手は王手で▲4三歩成△同金を決めてから、

▲7九玉として角のラインから遠ざかっておきます。

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 (分岐A図3 65手目 7九玉まで)

 

ここで後手が一気呵成に△5七角成と攻め込むのは急ぎすぎで

▲6八銀打△2四馬▲5三歩△同金

▲4一龍△同玉▲2一飛△5二玉▲2四飛成

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(分岐A参考図 75手目 2四飛成まで)

と進めば

・先手玉は堅く

・4九の銀を狙う手には▲1六角と王手で利きを足すことができ

・▲5四歩から攻めることができるので

先手がかなり勝ちやすい局面だと思われます。

 

▲6八銀打に△7五馬と逃げることもできますが、

▲4五香△4四歩▲2二飛△4二桂▲3二桂成としていけば

自然と先手が攻め込んでいける形ですね。

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(分岐A参考図 73手目 3二桂成まで)

 

ですので、後手もいったんは△3一歩などと受けておくのが

ソフト推奨手となっています。

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(分岐A図4 66手目 3一歩まで)

 

ここから先手は1三龍や2二龍あるいは、4八香などから攻めていって

やや指しやすし(評価値+350~+200)という評価なようです。

 

ということで、60手目に△4七香成から後手が反撃に出るのは

▲4四歩のお返しが鋭く、先手にやや分のある攻め合いとなりそうでした。

 

次に60手目△5六歩の反撃を見ていきましょう。

(実戦での進行です。)

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(60手目 5六歩まで)

 

これには歩裏の香が手筋の反撃ですね。

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(61手目 5五香まで)

 

ここから

△6二玉▲5三銀△同金▲同香成

△同玉▲4一龍△5二銀▲3二龍

と進んで

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(69手目 3二龍まで)

後手は4筋に築いた金のバリケードが一瞬で吹き飛んでしまいました。

しかし、この局面で再び後手に手番が回ってきたのも大きそうです。

 

ここで実戦は

△3一歩▲2二龍△2一歩▲3一龍△8七歩▲7九玉

△4七香成▲4四歩△4六角▲4三歩成△同銀

と進みました。

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(80手目 4三同銀まで)

 

パッと見は▲6一龍と金を取るのが自然なのですが、

△5七歩成の詰めろが厳しく、▲8六飛と角を取りに行こうにも

△6六桂▲同飛△5六と、や

△5六角として、4六の角を守りつつの寄せがあり、

後手に押し切られてしまいそうです。

 

そこで、4五飛から▲6五金を見せつつ4六の角を抜きに行きたいのですが

(実戦はそのように進行)

後手が飛車角を持っていると、

本譜のように△6五角成と金を抜きがらの詰めろが飛んできてしまうので、

先手が6一龍と金を取る手番が回ってこないようです。

 

では、先手はどこで変化していくのが良さそうなのでしょう。

感想戦にて阿久津八段が示したのが

△4七香成の局面で▲4四歩に替えて▲4八歩です。

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(先手の改良手 77手目 4八歩まで)

 

後手の攻めとしては5七の地点にはと金を作りたいのですが

この局面では5七成香とするよりありません。

先手からの▲4四歩の攻めを放棄するだけに

浮かびにくい一着ですが、後手も攻めが難しくなり

先ほどの気が付くと後手にうまい手が隠されている変化よりは

有力なのかもしれません。

 

この局面で▲4八歩が効果的であることを念頭に

先手の変化筋をもう少し考えてみましょう。

 

実戦の中でも△2一歩は打ち得なのかどうかが

棋譜中継コメントにて触れられていましたが、

その後に△8七歩からの攻めの時に後手が歩切れになり、

後手の得が少なそうです。

△2一歩が指されなくなるのであれば、

その前の△3一歩に対して▲3一同龍と取ってしまうのが

先手としては実戦と形が似るので、

後手の注文に乗るのにしてもそこまで気分は悪くなさそうです。

(先手から変化するので、変化Bと呼びます。)

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(変化B図1(分岐開始局面) 71手目 3一同龍まで)

 

実戦と同様に進んだとすると

△8七歩▲7九玉△4七香成▲4八歩!△5七成香

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(変化B図2 76手目 5七成香まで)

 

この局面自体の評価値は、パソコンの性能や評価関数などによって大きく異なることが予想されますが、

先手後手ともに一手間違えると一気に負けになる局面ですので

事前に攻め筋を抑えている方が勝ちやすいですね。

先手の指し手の候補は

①3二飛

②5四歩

③6五金(疑問手の可能性高、候補手を3手挙げさせているために表示されただけ?)

が挙げられており、これらを中心に先手からの寄せ、後手からの厳しい攻め筋

を各自確認されることをお勧めします。

私のPCと棋力では、評価値の乱高下を乗り越えられず

たしからしい情報と確信する自信は持てませんでした。

この辺まで来ると指してみないとわからないなぁーというのが今のところの感想です。

 

はっきり差がついている局面ではなさそうなので、

研究があれば十分に先手もやれる局面ではありそうです。

 

さて△4七香成に▲4八歩を中心に検討してきましたが、

△8七歩▲7九玉の交換が無ければ

▲4八歩と打つ得が少ないことをうっかりしてはいけませんね。

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(参考図 70手目 4七香成まで)

(△3一歩も省いてきた場合)

 

ここでは▲7九玉と逃げておいて

①△4六角と貯める手には▲4八歩△5七成香

(△5七角成には▲6八金打で先手陣堅い)

▲4五金から角を抜いてしまうのがわかりやすいです。

②△5七歩成と攻める手には▲6五金と寄せ合いで先手が勝てそうです。

 

もう一つ後手から△4七香成と攻め込むタイミングがありますね。

△8七歩に替えて△4七香成です。

(分岐Cと呼びます。)

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(分岐C図1 72手目 4七香成まで)

 

やはりここでもいったん▲7九玉と逃げておきましょう。

△5七歩成と攻め込んでくるのは、

▲4四歩の反撃が刺さりそうです。

手抜きは▲4三歩成△同銀▲5四歩△同銀▲4二飛などの攻めがあります。

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(分岐C図2 81手目 4二飛まで)

 

手抜いて△4六角には▲4三歩成△同銀▲4五金が

上部を抑えつつ角取りで後手忙しいです。

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(分岐C図3 79手目 4五金まで)

 

そこで△4四同歩は仕方ないところですが、

▲3三飛打と迫り、△6四玉や△6二玉には▲5三歩が厳しい攻めです。

 

△4三桂は5五の地点にも効いていて後の攻めも見た攻防手なのですが、

平凡に▲4五歩と合わせていくのが速く、

ギリギリですが攻め合いは先手がなんとかできそうです。

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(分岐C図4 79手目 4五歩まで)

 

ということで、だいぶ戻りますがテーマ1図の

42手目に△4二銀と引き締める手は

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(再掲テーマ1図 42手目 4二銀まで)

▲2二歩から攻め込んでいき

先手が互角以上でやれそうですね。(有利とは言い切れないほどの差ですが)

 

あと先手として気になるのは、

42手目に△4五香と変化される展開ですね。

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(本記事のテーマ2図 42手目 4五香まで)

 

この局面でも27手目に▲8二歩△同銀を決めておいた効果で

▲5五角や▲8五飛が厳しくなっています。

 

まずは▲8五飛を見てみましょう。

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(変化D図1(分岐開始局面) 43手目 8五飛まで)

銀香両取りですが

▲8二飛成と王手で銀を取られながら龍を作らせるわけにはいかないので

 △7二金として銀取りを受けるのが自然に見えます。

そこで▲4五飛と香車を外しておいて

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(変化D図2 45手目 4五飛まで)

 

この局面は▲飛△金桂の2枚替えで

陣形は金銀4枚が自陣で安定している後手の方がよさそうです。

この変化は先手としてやや冴えないように見えます。

 

また、44手目△7二金では替えて△3七角も有力で

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(変化D図3 44手目 3七角まで)

後手は6四馬や7三馬と手厚く指すこともできますし

△2九と~△3九との攻めも速く、

先手苦戦しそうです。

 

そこで43手目は▲5五角を本譜の進行とします。

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(43手目 5五角まで)

やはり銀を取らせるわけにはいきませんので、

△7三銀が自然な進行ですね。

ここで勢い▲1一角成と行くのが手の流れですが

△8八歩がうまい利かしでどう応じても後手の攻めがうるさそうです。

 

この△8八歩の進行はこちらのブログで拝見した手です。

勇気流 : 序盤探求の旅

 

△8八歩▲同金△8七歩で

①▲8七同金は△7五桂と金取りで玉頭に利きを足して味の良い攻めですね。

以下は8筋を歩で乱す手と4七香成で自然と挟撃形になりそうです。

 

②▲7八金や③▲9八金と寄るのがまだマシに見えますが

△4七香成のときに③9八金型の方が▲7八玉の逃げ道が大きそうに見えます。

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(参考図 50手目 4七香成まで)

 △2七角が厳しいので先手は忙しいですね。

一例として

▲4四歩△同歩▲2一馬として次の▲1二飛に期待する攻め合いはあり得ますが

△6五桂▲6六銀△8八金で挟み撃ち完成ですね。

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(参考図 56手目 8八金まで)

 

△8八歩に④▲8三飛と打つ手もあり得ますが

△4七香成としておいて、次の△8九歩成と△2七角成が厳しいのは

ブログに記載されてある通りですね。

 

▲1一角成では先手苦しそうだったので

▲5八銀といったん戻してどうかですね。

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(45手目 5八銀まで)

 

ここで後手の手が広いです。

香取りも受けてしまう手として、①3三角を見ていきましょう。

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(分岐E図1(分岐開始局面) 46手目 3三角まで)

 

これには▲3三同角成△同桂▲2一飛と攻めてみたいですね。

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(分岐E図2 49手目 2一飛まで)

先手は次に▲2三歩からの攻めがあります。

一例:

△3七角▲2三歩△4八角成▲2二歩成

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(分岐E参考図 53手目 2二歩成まで)

次の▲3二とが厳しいですし、

△2二同銀は4一角から後手玉がほぼ寄り筋です。

 

後手には▲2三歩よりも速い攻めが必要です。

その一つが△4八金です。

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(分岐E-1図1 50手目 4八金まで)

次の△5八金▲同玉△4七香成▲同玉△6九角が厳しい攻めですね。

△4七香成に▲6八玉などの方が粘れますが△8八歩を手抜けず

後手の攻めが止まらなそうです。

よって、△4八金には▲6九銀と躱して

以下は一例ですが

△8八歩▲同金△8七歩▲9八金

△4七香成▲4四歩△同歩▲3四角

△6二玉▲6一角成△同玉▲2二金

として先手の攻めが速そうです。

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(分岐E-1図2 63手目 2二金まで)

 

▲2三歩より速い後手の攻めとして、もう一つ

△5五桂も見てみましょう。

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(分岐E-2図1 50手目 5五桂まで)

 

ここでは▲4六歩と突きだすのが先手の面白い手だと思います。

△同香に▲4四歩から反撃できます。

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(分岐E-2図2 53手目 4四歩まで)

 

△4四同歩は▲3四角△6二玉▲4一飛が攻めとして厳しく

△5一金打として受けるのであれば、▲4四飛成としておいて

後手の指す手が難しそうです。

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(分岐E-2参考図 59手目 4四飛成まで)

 

▲4四歩に対して△4八香成と攻め合いに来る場合は

▲4三歩成△同金▲6九銀△4二銀として

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(分岐E-2図3 58手目 4二銀まで)

 

難解な形勢だと思います。

先手は2三角や4一角などの攻めや

8三飛や8五飛などいくつか手段がありますので

先手を持って頑張り甲斐のありそうな局面だと思います。

(形勢は互角)

 

ということで、46手目①3三角は

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(再掲分岐E図1 46手目 3三角まで)

先手も互角に戦えそうです。

 

先ほどの変化の中で△4八金からの攻め筋がありましたので

①3三角に替えて46手目に②4八金と攻めるのはどうでしょう。

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(分岐F図1(分岐開始局面) 46手目 4八金まで)

 

後手の狙い筋は

△5八金▲同玉△4七香成▲6八玉に△4八角

などとしてくるかんじですね。

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(分岐F参考図 52手目 4八角まで)

 

△4八金には▲6九銀と躱して

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(分岐F図2 47手目 6九銀まで)

 

一直線に指すのであれば

△4七香成だと思うのですが

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(分岐F-1図1 48手目 4七香成まで)

以下

▲8三飛△8二歩▲7三角成△8三歩▲8二飛と進めば

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(分岐F-1図2 53手目 8二飛まで)

先手の攻めが厳しそうですね。

後手も飛車を下ろして5八金(成香)の攻めがあるので

先手有利とは言い切れませんが、先手も戦えそうな感じです。

 

そこで48手目に△4七香成と行く前に味付けをしたいところですが

△8八歩▲同金の交換を入れて△4七香成は

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(分岐F-2図1 50手目 4七香成まで)

 

先ほどと同様に

▲8三飛△8二歩▲7三角成△8三歩▲8二飛

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(分岐F-2図2 55手目 8二飛まで)

と進んだときに

先手玉が7九~8八ではなく、7八~8七と逃げることになるため

△2九飛からの単純な攻め合いにおいては

△8八歩▲同金の交換は先手の得になっていそうです。

 

では、△8八歩▲同金△8七歩▲9八金△4七香成はどうでしょうか。

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(分岐F-3図1 52手目 4七香成まで)

 

これは▲8三飛に△8二歩が打てませんね。

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(分岐F-3図2 53手目 8三飛まで)

 

そこで△7一金と受けるのは

▲7三角成△同桂▲同飛成△6二角

▲6四桂△4二玉▲5一銀△同角

▲7一龍△6二銀▲5二金△3三玉▲6二金

が一例で

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(分岐F-3参考図 67手目 6二金まで)

先手の攻めが好調ですね。

 

△7一金などとはしても仕方なかったので

△8八歩成としてどうかですが

ここで成り捨てるならそもそも△8七歩の叩きは失敗だった

と言っているようなものですよね。。。

 

△8八歩▲同金△8七歩▲9八金△6五桂だよー!

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(分岐F-4図1 52手目 6五桂まで)

とソフトで表示されるのですが

これは直後に▲6六銀で先手有利だと反省を始めます。

以下は

△4七香成▲6五銀△5九角▲7八玉△5八成香▲7三角成△同桂▲8二飛

のように進めば先手優勢と言えそうです。

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(分岐F-4参考図 61手目 8二飛まで)

 

ということで46手目4八金には

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(再掲分岐F図1 46手目 4八金まで)

▲6九銀と躱した後

▲8三飛から角と協力して攻めることで先手も互角に戦えそうです。

 

46手目の候補手として、もうひとつ③3七歩もあるようです。

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(分岐G図1(分岐開始局面) 46手目 3七歩まで)

 

ここでも▲1一角成から攻め合いを目指すのは

△3八歩成~△4八との寄せ合いで後手の攻め合いが速いですね。

また、▲3七同角も△2九角が厳しいので指してはいけない手ですね。

 

そこで▲8二歩がお返しの反撃です。

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(分岐F図2 47手目 8二歩まで)

 

△3八歩成▲8一歩成と進んで

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(分岐G図2 49手目 8一歩成まで)

 

ここで銀取りの受け方が問題ですが、

①△6四銀と角に当てて受けるのは、▲同角と切られて

△6四同歩▲7三桂△6二金▲8二飛で先手は攻めることができます。

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(分岐G参考図 55手目 8二飛まで)

 

銀取りは②6四歩と受けるのがよさそうです。

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(分岐G図3 50手目 6四歩まで)

 

▲6五桂△6二銀▲6四角△4八と

▲6九銀△4七香成▲7一と△同金と進んで

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(分岐G図4 58手目 7一同金まで)

 

ここで先手は

①5三地点で精算してから5一飛と

②先に7三飛と打ってから5三地点に殺到していくか

の2択になります。

 

①を見ていきます。

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(分岐G変化①図1 59手目 5三桂成まで)

 

△同銀▲同角成△同玉▲5一飛△5二歩▲7一飛成までは一直線ですね。

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(分岐G変化①図2 65手目 7一飛成まで)

 

ここで手番を活かして△5八とが厳しいです。

▲同銀△同成香▲同玉△4七角で

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(分岐G変化①参考図 70手目 4七角まで)

▲4七同玉は△5五桂から詰みます。

取っていくのは危ないので

△5八とに▲7九玉は仕方ないところですが

△8七歩くらいで先手玉は寄っていそうです。

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(分岐G変化①図3 68手目 8七歩まで)

 

もうひとつの②の方を見てみましょう。

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(分岐G変化②図1 59手目 7三飛まで)

△7三同銀は▲5三桂成から詰むので、5三地点に利きを足すところです。

 

△2六角は▲5三桂成△同銀▲同角成△同角▲5四銀が厳しいので

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(分岐G変化②参考図 65手目 5四銀まで)

△6一桂や△4一桂と安い駒で利きを足すのが普通でしょうか。

 

▲5三桂成△同桂▲同角成△同銀▲7一飛成と進み

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(分岐G変化②図2 65手目 7一飛成まで)

変化①図では△5八とに▲同銀と取れなかったのですが、

今回は後手の桂馬が一枚しかないので、

△4七角を▲同玉と取って詰みはありません。

 

よって、59手目は②7三飛が優りそうで、こちらを本譜手順とします。

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(再掲分岐G図5(名称を変更してます) 65手目 7一飛成まで)

 

図から△5八と▲同銀△同成香▲同玉に△6二銀打と受けに回ります。

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(分岐G図6 70手目 6二銀打まで)

ここで8二と7二のどちらに飛車を打つかが難しいのですが、

▲7二飛の方が優りそうです。

以下は一例ですが

△4六桂▲6八玉△4七角▲7九玉

△8七歩▲同金△5四角▲8二飛成

△6九角成▲同玉△8七角成▲同龍△7一銀▲8三龍で

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(分岐G図7 85手目 8三龍まで)

6三角以下の詰めろで龍を戻れるので先手に攻めのターンが来たといえると思います。

 

ということで46手目③△3七歩には

△8二歩から反撃していって先手もやれそうです。

 

だいぶ話が戻りますが、

変化Dで取り上げた43手目▲8五飛よりも

本譜手順とした▲5五角の方が互角以上で戦えそうですね。

 

実戦で指された△4二銀(テーマ1)と

有力な△4五香(テーマ2)への対策をきちんと持っておけば

39手目1九との展開も先手をもって頑張れそうです。

 

繰り返しになりますが、この記事の指し手には欠陥がある可能性がありますので

「ここはおかしいぞ!」がありましたら

この記事にでも構いませんし、Twitterでもコメントを受け付けております。

 

最後に、途中にも紹介させていただいた研究ブログの作者様への

紹介の許諾と分岐F,G(46手目4八金・3七歩)を指摘してくださったことの

感謝を述べて本記事を終わりとさせていただきます。

横歩取り勇気流~52玉76飛②(36手目39との進行)

どうも、タネタです。

 

横歩取り勇気流の序盤から中盤にかけての指し手を検討していく記事です。

 

本記事では勇気流対△5二玉・7六飛型、相横歩取りの形から

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(20手目 7六飛まで)
後手が36手目に△3九とと、先手玉側へとと金を活用する進行について

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(36手目 3九とまで)

プロの進行で代替手が示されていた局面からの変化を見ていきます。

この記事では元にしている順位戦A級広瀬ー稲葉戦において

中盤から先手良しになったことを根拠に、

基本的には本譜の進行から後手の代替手を取り上げます。

 

まず一つ目の代替手は

棋譜コメントに記載されていた44手目の局面を見ていきましょう。

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(43手目 6九銀まで)

ここで本譜は△8七歩と手筋の叩きが入りましたが、

▲7七銀と躱されたときに▲8五飛に△8四歩と受けられず

後手困る変化があります。

そこで叩きを入れずに△3三桂と跳ねてどうかということが検討されたようです。

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(44手目 3三桂まで)

 

しかしこの進行は対局時の広瀬八段の読み筋で

▲3三同桂成△同金▲5五角!

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(47手目 5五角まで)

の予定で、これは序盤に乱しておいた▲8二歩が活きた形ですね。

以下△7六桂▲7七玉△4四角▲同角△同歩▲2一飛

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(53手目 2一飛まで)

まで進むと先手良さそうです。

 

ということで代替案①の44手目△3三桂は思わしくないようです。

 

次に46手目の局面を見ていきましょう。

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(45手目 7七銀まで)

この局面が後手にいろいろありそうで、後手の頑張り所だと思います。

棋譜コメントでは

①3三桂②3八角③5九角④8八金(本譜)⑤7三桂⑥4二銀⑦4七と

と7通りの指し手が挙げられています。

また私の検討では(筋は悪いかもしれませんが)⑧7三角もあるようです。

 

①3三桂は8七に歩が残っているので▲8五飛で8二の銀取りを受けるのに苦労があり、後手指しにくく見えます。

▲8五飛△7二(一)金では▲3三桂成△同金▲5五角、

△6四角や△3七角では▲3三桂成△同金▲2一飛(△3二金▲2四桂)、

がそれぞれ厳しいです。

②3八角は▲8五飛の攻めと▲5五角の攻めのどちらでも良さそうですし、

▲2六角で5三の地点と4八のと金取りを見せるのが厳しい手ですね。

 

③5九角は▲7九玉との交換になって、他の候補手との組み合わせになるので省略します。

④8八金は本譜の進行のように金を先手に渡すと、

△8四歩▲同飛△9五角を見越した▲8五飛に△8四歩の受けが成立しなくなるので

指しにくい手と言えると思います。

⑤7三桂は②と同様▲2六角が厳しいです。

⑥4二銀は▲5五角の両取りが厳しく、△7三桂などと攻め味も見せつつ両取りを緩和しようとするのには▲8三歩でかえって忙しくなります。

⑦4七とは有力で

▲5五角△4六角▲同角△同と

▲5五角△6四角▲1一角成△4五と▲2一馬

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(参考図 55手目 2一馬まで)

と進むと先手飛車香、後手金で先手が大きく駒得し馬も作れているのですが、

次の後手の△4六角が油断ならない一手で

△5六桂からの寄せを目指しているので

簡単に有利不利の結論は出せなさそうです。

(△4六角で評価値は+200程度を示しますが、

数手進むと先手後手ともに大反省(評価値が大きく変動する)ことが散見されるため、

ここから先は対局者同士で考えてくれっ泣)

 

最後に⑧7三角です。

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(46手目 7三角まで)

手の意味としては8八の銀にヒモを付けつつ、

1九角成で馬を作りつつ香車を取る手も見せているというところです。

ここで△5九角の筋もなくなったし、と油断して△8七金と自陣に手を入れると

△1九角成~△6四馬で玉頭を手厚くされると先手の攻めが難しくなるので

先手もあまりゆっくりしていられないです。

そこで△1九角成に▲2二歩から攻め合ってどうかですが、やはり難解な形勢です。

後手の△4七と~△4六馬が怖い攻めですし、

後手の持ち駒に金がある限りは広瀬-稲葉戦のような

▲4一角△同玉▲5三桂不成△5二玉▲6一桂成△同玉▲5三金の攻めも

△6二金で受かります。

 

▲8七金は実戦で指すうえでは悪くない手だと思いますが、

事前に準備していくのであれば先手でもう少しさっぱりした手を選びたいと思っています。

ハメ手のようなふわっとした手としては、

△7三角に▲4六歩はあります。

うっかり△4六同角とすると▲5六飛で△5五金には▲4六飛~▲8六飛で金or銀得になりそうです。

▲5六飛に△6四角がもっともマシですが、

▲2二歩を効かせてから△同銀に▲4六角で

6二か4二に金を打つしか受けが無くなり先手良しと言えそうです。

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(53手目 4六角まで)

 

また、▲2二歩に△3三桂と躱す手も考えられますが、

▲3三同桂成△同金▲2一飛で

i)△3二金には▲2三桂が厳しいです。

ii)△3二銀にはいったん▲1一飛成と逃げておいて

次の▲2一歩成~▲2二とが厳しいです。

 

先手良さそうに見えるのですが、▲4六歩に△4二銀とされると

後手玉頭が手厚くなり後手の陣形がしっかりするので、先手の攻めが少し軽いです。

 

この▲4六歩と△4二銀の交換は後手得に見えます。

 

△4二銀の後に▲2二歩が手抜かれるなら先に▲2二歩決めてみようということで

△7三角に▲2二歩はどうでしょうか。

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(47手目 2二歩まで)

 

自然は△2二同銀ですね。

欲張って△3三桂と躱すのは

先ほど出た順と同様に▲3三同桂成△同金▲2一飛の筋が決まります。

 

さて、△2二同銀に対して▲3五角が継続の攻めです。

やはり玉頭を攻めていくのですね。

同じようでも▲2六角は、4八のと金取りなのですが、このと金を取ると

△1九角成~△4四香が来るので、▲4八角とはできません。

 

△4四金とはじきに来る手も気になりますが、

▲5三桂成△同玉▲4一飛△5一歩▲4四角と金を取ってしまって

後手玉に寄りがありそうです。

 

後に▲4六角として角をぶつける変化もあるので、

角は3五から打つのがポイントです。

 

▲3五角に△6四角で受けるのが後手の柔軟な対応ですが、

▲8五飛と強硬に攻めに出て△7二金打(7一もある)と受けさせることができれば

▲8七飛と歩を払っておいて先手が相当負けにくい形になっています。

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(53手目 8七飛まで)

なおこの局面で評価値は-100~+200程度をふらふらしています。

 

途中に更なる変化もあるかもしれませんが、

この進行では△8七歩▲7七銀から

⑦4七と

⑧7三角

が有力で、難解な終盤になりそうです。

先手は⑦4七とに対しては5五角の両取りから桂香を拾い、

△4六角~△5六桂に対して、徹底的に受けて余して勝つか、

1二飛などから攻め合い勝ちを目指す展開になりそうです。

⑧7三角に対しては▲2二歩を効かして

▲3五角から玉頭を狙う、8筋に飛車を攻防で効かす展開になりそうです。

 

今回はここまでとします。

これらの変化については、

自分で実戦を指してみてからさらなる検討を進めようかと思います。

 

序盤についての記事なのにどっぷり終盤検討になってて

やっぱり横歩やんなーという気分です(ヽ''ω`)ゲッソリ

 

次回は1九と~4四香の進行について

検討した記事を書く予定です。

また時間かかると思いますが、どうぞお付き合いくださると幸いです。

横歩取り勇気流~52玉76飛①(実戦の進行と課題局面)

どうも、タネタです。

横歩取り勇気流の序盤をプロの実戦譜から勉強していく記事です。

 

前回までで後手の

①2二銀8二飛型

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②8五飛-2五飛型

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の序盤を見てきました。

 

どちらも先手の攻め、後手の受けという展開になりやすく

先手は攻めの工夫を、後手はしっかり受けて反撃を考える楽しみのある展開のようでした。

 

今回からは、後手も攻めてくる展開について見ていこうと思います。

今までのような先手が攻めに専念できる展開ではないので

先手もきっちりと事前準備が必要になることと思います。

気合を入れて頑張っていきます。(*´▽`*)

 

まずは勇気流の基本図からの進行を見ていきます。

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(17手目 6八玉まで)

 

この局面から△5二玉▲3六歩△7六飛と進みます。

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(20手目 7六飛まで)

 

この後手の形は、勇気流の歳の離れた双子の兄(?)である青野流に対して

最近もっとも多く指されている対策と同じ形です。

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(参考図 20手目 7六飛まで)

 

参考図では、後手から△8八角成が来ると将棋が終わってしまうので、

△7七角や△7七桂とする将棋になっていきます。

 

一方、勇気流の形では7八の金に玉のヒモがついているので、

△8八角成からの先手になっていないため、

21手目に▲3七桂と攻めの手を指せるのは先手が得した気分ですね。

(※だから勇気流の方が良いというわけではありません。)

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(21手目 3七桂まで)

 

少し蛇足になりますが、単の7六飛についても少し見ておきましょう。

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(参考図 18手目 7六飛)

ここで実戦では▲3六歩が指されています。

歩の損得はなくなりますが、3七桂から4五桂の速攻を見た本筋の手ですね。

 

ただし、後手に8六飛と戻られて後手も十分に攻撃力のある形になりますので

これはこれで有力な展開となりそうです。

 

筆者はこの形で攻め合いに持ち込もうという後手の主張を否定したいので

19手目に▲8四飛の展開を検討したことがあります。

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(参考図 19手目 8四飛まで)

パッと見は王手飛車をかけてみたいところですが

△8八角成▲同銀△9五角には▲7七歩の飛車取りがお返しに効きます。

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(参考図 23手目 7七歩まで)

ここから飛車の取り合いは、後手の角の働きが悪く、▲2四飛の筋で攻めの目標にされそうです。

後手陣は5三と6三の歩が浮いていて、居玉なので飛車を打つ場所にも苦労します。

かといって、△2六飛と逃げるのは、1五角で王手飛車をかけてもいいですし、

▲8一飛成△2九飛成▲6五桂としておいて

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(参考図 27手目 6五桂まで)

先手の攻めの方が速そうですね。

もちろん変化の余地はかなりあると思いますが

5二玉と備えずに横歩を取りに来たことを後悔させていきたいなー

というのが筆者の狙いです。

 

(追記)

2017年11月16日順位戦B級1組6回戦谷川-阿久津戦にて▲8四飛が採用されました。

やはり△8八角成~△9五角の王手飛車の進行は先手良しなようで

実戦では▲8四飛に△8二歩と進みました。

この局面は先手の主張が存分に通っているように見ていましたが

ここからまだまだ難しい展開になりますね。 

 

さて、本譜の進行に戻りましょう。

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(再掲 21手目 3七桂まで)

 

ここで△8六飛と変化する可能性もなくはない手です。

ただ、▲3八銀に△7二銀(悪手)などとすると

▲4五桂△8八角成▲同銀△3三歩▲5三桂成△同玉▲7五角で

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(参考図 31手目 7五角まで)

飛車取りと▲5四飛~▲5三角成が厳しく先手勝勢に近そうです。

8六飛で後手にすぐの攻めがあるわけでもなく、

先手に一気の攻めを目指される可能性もあるので、

△7四飛から交換を迫る方が後手として面白い手と言えそうです。

 

22手目から△7四飛▲同飛(3五飛は角交換から△2六角)△同歩▲3八銀

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(25手目 3八銀まで)

この▲3八銀は個人的には指しておきたい手なのですが、

羽生先生曰く、「3八銀とかやってる将棋じゃなかったのかもしれませんね」

として、①7七桂、②8四歩、③2四歩といった代替手が感想戦で検討されたそうです。

しかし、どれも先手にとって冴えないようで、以降も実戦譜は▲3八銀が続いています。

以降の変化でどうしても先手苦しいようなら、ここから変化していかざるを得ないのかもしれませんね。

 

本譜は▲3八銀に対して△2八飛が村山七段の用意の手で、

研究会で経験済みの局面だったそうです。

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(26手目 2八飛まで)

ここで一号局である羽生-村山戦(2017/7/14竜王戦決勝トーナメント)では

シンプルに▲2七歩だったのですが、

第二号局広瀬-稲葉戦(2017/7/19順位戦A級)では

▲8二歩△同銀の交換を入れてから▲2七歩でした。

 

この将棋は後に角交換になりますので、

▲5五角の筋が厳しくなるようにしておくのが大事な利かしで

このタイミングを逃すと叩きが入らない可能性が高いので、覚えておきたい一手ですね。

 

ここからは一直線に進みます。

27手目▲8二歩から△8二同銀

▲2七歩△2六歩▲3九金△2七歩成▲2八金△同と▲4九銀

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(35手目 4九銀まで)

 

この局面で後手に有力な手が①3九と、②1九との2つあります。

①3九とはと金を玉側へ活用する自然な厳しい攻めに見えますね。

まずはこちらを見ていきましょう。

 

△3九と▲5八銀△3八と▲4五桂△8八角成▲同銀△4八と▲6九銀で

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(43手目 6九銀まで)

後手はジリジリとと金を活用し、先手は手に乗って右の銀桂を活用できています。

この局面で後手がどのように指すかがこの将棋の勝敗につながってきそうです。

実戦の進行は△8七歩で、

これに1)▲8七同銀は△8八歩でi)▲7七桂は△5九角から詰み、ii)▲8八同金は△5九角~△5八とが厳しく、iii)▲7九玉ならすぐにはつぶれないが桂損。

2)▲8七同金は△8六歩が厳しく、a)▲8六同金は△5九角で王手金取り、b)▲7七金は△5九角~△5八と、c)▲8五飛には△3七角と受けて後手がやや指せるか。

3)▲7七銀と躱すと先手玉が瞬間すごく狭い形でこわいところ。

 

本譜はこの後の△8八金が疑問で金を渡したことによって後手玉に寄せが生じてしまったようです。

また、△8七歩と打ったために▲8五飛と打たれたときに8筋に歩が打てないのも

先手の指し手に得を与えているようで、最善が難しい局面ですね。

 

△8七歩に替えて、△3三桂も有力な変化と見られていたようですが、

広瀬八段の予定は▲3三桂成△同金▲5五角△7六桂▲7七玉△4四角▲同角△同歩▲2一飛

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(参考図 53手目 2一飛まで)

で先手やれそうという評価だったそうです。

 

43手目▲6九銀から後手がどう攻めてくるのか、が今後の検討課題となっているのが現状だと思います。

このあたりをもう少しだけ、次回の記事で検討してみたいと思います。

 

話を少し戻しまして、36手目の分岐②1九との進行も見てみましょう。

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(再掲 35手目 4九銀まで)

ここで△1九とと、そっぽにいっても香車をもつのが阿久津八段の工夫です。

王将戦二次予選松尾-阿久津戦(2017/8/11)

ここから▲4五桂△8八角成▲同銀△4四香と進みました。

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(40手目 4四香まで)

7六桂の筋があるので、先手は桂馬を簡単には渡したくありません。

また、現状では4七香成とされるのも嫌なので、指されてみると嫌味な香車です。

 

本譜はここで桂取りを受けずに▲7七銀と進みました。

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(41手目 7七銀まで)

ここで△4五香が自然ですが、

▲7七銀で受けられたところばかりなので▲5五角の両取りが返ってきます。

この局面では手が広く、後手にさらなる工夫のし甲斐があるように見えます。

このあたりの指し手をまた、後日別記事にて検討していきたいと思います。

 

本譜は△4二銀として▲5三桂成の筋を先受けしました。

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(42手目 4二銀まで)

▲5五角の筋を受けておいて、桂馬を取りますよー

といくものとばかり思っていましたが、

▲5三桂成△同玉の形も嫌なところなので、じっと自陣に手を入れる

焦らない手というのは、いかにも強そうな人の指し手っぽいですね!

 

さて、この局面、松尾八段の第一感は▲5八銀だったそうです。

やはり△4五香には▲5五角が残っていますし、4七にヒモ付けしたので先手の状況が良くなっています。

しかし、▲5八銀に△7三角とされると、

▲4六歩と桂馬を支える手を消され、▲5五角の攻めも先受けされて

今度は後手の条件がかなり良くなっているように見えます。

そこで、実戦は仕方なく▲2二歩と攻め込んだそうです。

以下は

△2二同金▲5三桂成△同銀▲3一角

△3二金▲5三角成△同玉▲4一飛

△5二玉▲2一飛成△3一歩

▲2四桂△4二金▲3一龍△4一金打と進みました。

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(58手目 4一金打まで)

ここで手番が後手に渡り、後手待望の反撃のチャンスが来たのですが

△4七香成には▲4四歩、(本譜)△5六歩には▲5五香の反撃があるため

バランスが取れている局面と言えそうです。

 

本譜は最後に1九のと金が働いて先手玉が詰む展開となりましたが、

58手目以降もしばらく難しい展開が続いていたようです。

受けなしに見える局面から後手の絶好手で自玉を安全にし、

先手玉を即詰みに打ち取った本譜は阿久津八段の強さが光る一局だと思います。

ぜひ一度並べてみてほしい棋譜です。

 

今回の記事はここまでとします。

次回以降は36手目△3九との進行での課題局面43手目6九銀の局面を

見ていく予定です。

 

横歩取り勇気流~85飛-25飛型⑥(27手目46歩の進行)

どうも、タネタです。

横歩取り勇気流の序盤を勉強していく記事です。

 

いろいろ検討しましたが、

やはりあとは実戦を重ねて定跡の進行を見守るのがいいかなー

と思ってしまっている今日この頃ですが

検討した分は記事にしようかと思います。

 

さて、前回までの記事で

勇気流に対し後手が8五飛~2五飛として2筋に歩を打たせる展開では

①27手目8四歩

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(27手目 8四歩まで)

の進行と

②27手目4六歩

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(27手目 4六歩まで)

の進行があり、

 

①27手目8四歩は、一見不安定な歩ながら飛車をいじめられたときに

手順に8五飛と回る手が飛車先逆襲を見据えていたり、

4五桂~5三桂成同玉7五角の王手飛車を見せていたり、

と様々な変化の中で盤面全体を使って支えられている歩でした。

しかし、8四歩に7二銀と立っておくと、先手からのすぐの攻めは意外と難しく

以降は6~8筋での空中戦でじりじりとした展開になりそう

というところまでは見てきました。

 

②27手目4六歩の進行は実戦例が少なく(手元には1局のみ)

定跡といえるほどの蓄積はまだないのですが

後手は指したい手がたくさんあるものの、

動かす駒が難しい局面なのではないかと考えています。

 

今回の記事では、この②27手目4六歩に対して

後手はどのような手を指してくるのか、いくつか検討してみたいと思います。

本記事の基本図

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(再掲 27手目 4六歩)

 

前回の記事の後半で紹介した実戦では

28手目に5二金としたため、8四歩が厳しい攻め筋として成立する展開となりました。

28手目の候補手①5二金はこの実戦の進行で先手良しと結論付けることにします。

(実戦:2017/10/10 順位戦C1 佐々木勇気宮田敦史)

 

28手目の候補手②6二銀

後手がゆっくりしたい展開について見てみましょう。

横歩取りの後手の持久戦と言えば中原囲いですね。

ということで28手目に6二銀としてみましょう。

 

急戦形の将棋をよく指す人なら、この局面はぜひ強く戦ってみたい局面ですよね!

(※感想は個人の意見で善悪を保証するものではありません)

 

動き方は何通りかあるのですが

▲3三角成~▲8三歩~▲8四歩~▲8三角で決まっていれば

もっとも変化の余地が少なそうです。

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(35手目 8三角まで)

手順中後手が変化するとしたら3三角成に同金と飛車に当てるくらいですが

▲8三歩△同飛▲8四歩△8二飛▲3三飛成△同桂▲8三金として飛車を取り返せるので駒損なく攻めることができそうです。

▲8三金以降、△8三同飛▲同歩成の局面で

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(参考図 39手目 8三同歩成まで)

先手は次に▲8二角から桂香を拾う狙いと

▲3五歩~▲3四歩と桂頭を狙っていく手があるので攻めには困らなそうです。

 

本譜に戻りまして8三角の局面です。

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(再掲 35手目 8三角まで)

 

6一の金取りと5六角成~8三歩成の狙いがあります。

両方を受けるには△7一金~△7二金です。

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(38手目 7二金まで)

馬ができて先手が良さそうです。

 

 

 

やはりいきなり6二銀から中原囲いに行くのは危なそうですね。

8四歩~5六角~8三歩成の攻めがいつでもあるので

△5一金~△6二銀として中原囲いに行くのも危なそうです。

 

▲8四歩の拠点が嫌味な展開が多いので△7二銀と8三の地点を厚くしてみましょう。

28手目の候補手③7二銀

 

ここでいつも通り▲8四歩としていくのは△6四歩が厄介です。

6四同飛は角交換から8六角の王手飛車があります。飛車の横効きがとまったままでは

せっかくの8四の拠点が払われてしまいますね。

ここで先手から暴れる順(評価値-100~+150ほど)もあるのですが

そもそも8四歩を垂らす一手とは限らないので別の攻め筋を考えてみましょう。

 

4五桂と跳ねていく攻めも自然に見えますね。

以下、△8八角成▲同銀△3三歩で飛車を4段目から動かして4四歩で急がされると

先手の攻めが無理していそうですね。

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(参考図 34手目 4四歩まで)

どうやら、この7二銀型は意外と強敵なようです。

いったんじっと8七歩とおさめに行きましょう。

 

後手がうっかり△2二銀としたら▲4五桂△8八角成▲5三桂成!

△同玉▲3二飛成△4四馬(5五馬もある)▲3四金△5五馬▲4三金△6四玉▲7七桂と進み、

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(参考図 41手目 7七桂まで)

角金交換で駒損ながら竜を作ることができ、先手の攻めと後手の受けという形になります。

評価値は先手がすこし有利といった程度なので、攻め間違えると大変なことになりますが

後手の玉形があまりにも不安定なので先手勝ちやすそうです。

 

そこで△8八角成▲同銀△2二銀が安全な手順です。

▲7七桂△3三銀▲3五飛△6四歩(いろいろあり得る)▲6六角が一例で

先手は以降、角のラインを活かして手を作りに行く展開になりそうです。

現状は先手が歩を使うことができないのですが、

3,4筋の歩を切る展開になれば攻めに迫力が増してきそうです。

 

このように28手目の候補手③7二銀ではすぐさま先手の攻めが決まる形は見つかりませんでした。

しかし、基本的には先手の攻め対後手の受けという構図にはなりそうです。

先手に事前準備があれば、主導権を握って互角以上で指せそうな展開でしょうか。

 

 

 

今回は挙げなかった候補手で有力なものもおそらくあるのでしょうが

8四歩から8五飛の飛車先逆襲や8三角の馬作り、5六角から8三歩成

4五桂~5三桂成で王手〇〇取りを狙う

7七桂~4五桂、6五桂の2枚桂

6六角と設置して、4五歩~4四歩や3五歩~3四歩

など先手の攻め筋は多くありますので

どの変化でも先手は攻めを中心に考えて生きるのではないかと期待しています。

 

今後の実戦でこの形の定跡がどんどん整備されていくのを楽しみしながら

85飛-25飛型の記事をいったんおしまいにしたいと思います。

 

次回からは勇気流対策でもっとも研究量がものを言っていそうな展開である

対策④52玉76飛を見ていく予定です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

横歩取り勇気流~85飛-25飛型⑤(27手目84歩の進行)

どうも、タネタです。

横歩取り勇気流の序盤をプロの実戦譜から勉強していく記事です。

 

前回の記事で先手の急戦策25手目▲8三歩の展開について見ていきました。

その記事でも書きましたが、私はこの作戦を採用する必要性が薄いと考えています。

なぜならば今回紹介していく進行で先手が無理なく先攻できると思っているからです。

今回紹介する棋譜3局は先手で勇気流を指すのであれば

一度は目を通しておきたい棋譜だと思ってます!

・2017/03/23 竜王戦1組 豊島-三浦(千日手になった対局)

・2017/07/31 竜王戦決勝トーナメント 羽生-稲葉

・2017/10/10 順位戦C1 佐々木勇気宮田敦史

 

それでは進行を確認していきましょう。

勇気流基本図から24手目8二飛までの進んだ局面で

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(24手目 8二飛まで)

 

この局面を評価して見ましょう。

後手は2,3筋と8筋の歩が切れていて、初形から32金33角の2手を指した形です。

先手は8筋の歩が切れていて1歩得し、初形から78金68玉37桂の3手指した形です。

 先手は2筋に攻めで歩を使うことはできませんが、歩得と手得ができています。

先手の陣形は、とりあえず38銀の一手は指しておきたいところですね。

 

後手の陣形は立ち遅れていますので指したい手は

4二玉や4四歩、5二金~4三金右、6二銀や7二銀など

たくさんあります。

しかし一手や二手でしっかりした形を目指すのが難しく、

後手の指し手は簡単ではないようです。

 

ということで、

先手は焦らずに一度は3八銀と陣形を整備しておきましょう。

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(25手目 3八銀まで)

 

この局面で4四歩は指されたことがあります。

・2016/11/17 王座戦 佐々木勇気-中座

 

勇気流(68玉型)では4筋の歩を突いても玉のコビンではないので

青野流(58玉型)に比べて、4六歩~4五歩と攻めやすいです。

そこで4六歩と突いていき、

以下△8六歩▲8四歩△8七歩成▲同金

△8四飛▲8五歩△2二角▲4五歩

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(35手目 4五歩まで)

と仕掛けて

△3三桂▲4四飛△4四同飛▲同歩

△6八玉▲4六飛△4二銀▲3五歩

△2四飛▲2七歩△3四歩▲2六飛

△1四飛▲3六飛△3五歩▲同飛△2三金

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(52手目 2三金まで)

▲2五桂などが厳しく先手優勢そうです。

 

この進行は一例で変化の余地はあるかと思いますが

先手は4筋に争点があると飛車角桂で攻めやすくなっていそうです。

 

再び25手目3八銀の局面に戻りまして

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(再掲25手目 3八銀まで)

 

▲4五桂の攻めが見えているので△4二玉も自然に見えますね。

そこで▲8四歩が豊島八段の工夫です。

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(27手目 8四歩まで)

 

8四の歩は飛車の紐しかついていない不安定な歩なので

後手としては△2二銀~3三銀(2三銀)として飛車を動かしに行くのが

自然な進行に見えます。

・2017/03/23 竜王戦1組 豊島-三浦戦では

28手目2二銀に、先手は▲4五桂と跳ねだしていき、

△8八角成▲同銀△3三桂と進みました。

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(32手目 3三桂まで)

この3三桂に替えて3三歩の方が堅く、

ソフトの評価値で比べてもわずかに3三歩を推奨しているようですが、

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(変化図 32手目 3三歩)

▲2四飛△2三歩(後の▲2二飛成~▲8三銀などが嫌味)

▲2五飛と進みます。

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(参考図 35手目 2五飛まで)

△8四飛と歩を回収すると、

▲5三桂成△同玉▲7五角の王手飛車があり、

一例として

△6四飛▲同角△同歩▲4一飛

△5二玉▲2一飛成△3一金▲同龍△同銀▲2三飛成

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(参考図 49手目 2三飛成まで)

と2筋を突破できれば先手優勢と言えそうです。

 

△8四飛と歩を払うのは危なかったので別の手を選択することになりますが、

先手は機を見て▲5三桂成~▲8五飛と8筋を逆襲する狙いや

8三に駒を打ち込む攻めや▲7七桂から2枚桂など

攻め筋がたくさんありますので、先手が楽しく指せそうです。

 

本譜に戻りまして、32手目△3三桂を見ていきます。

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(再掲 32手目 3三桂まで)

▲3三同桂成△同銀▲3五飛△4四銀

(替えて△8四飛は▲6六角~▲4五桂が怖いところ)

▲8五飛△7二銀▲8三桂

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(39手目 8三桂まで)

露骨に桂馬をねじ込んで、先手が8筋からポイントを稼ぐことができ

先手が有利になっているかと思います。

 

後手の方針として、△2二銀~△3三銀としていくのは

8四の歩を払えるわけではなく、手順に▲8五飛からの8筋逆襲があるので

2手掛ける価値が薄いようでした。

 

そこで27手目▲8四歩に対して△7二銀と立ったのが稲葉八段の工夫です。

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(28手目 7二銀まで)

・2017/07/31 竜王戦決勝トーナメント 羽生-稲葉戦

 

この局面で▲4五桂が成立するかどうかが難しいところなのですが

検討された順としましては

▲4五桂△8八角成▲同銀△3三歩

▲2四飛△2三歩▲2五飛△4四歩

▲5三桂成△同玉▲8五飛

のように進行したときに

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(参考図 39手目 8五飛まで)

先手からの攻めが続くかどうか難しいところのようです。

 

本譜は▲7七桂として桂馬の活用を図りました。

角道が止まった瞬間ですので

△4四歩で桂跳ねを防ぐのも自然なところです。

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(30手目 4四歩まで)

この局面で先手の指し手がいくつかあり、難しいところなのですが

実戦の進行は▲9六歩でした。

 

喜び勇んで△8四飛は▲4五桂で角が取られてしまいそうです。

また、△4三金もある手に見えますが

▲3五飛△8四飛▲8五飛△同飛▲同桂で

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(参考図 37手目 8五桂まで)

この局面で形勢に大差はついていないのですが

金が三段目にいて飛車交換になるのは、

飛車に対する陣形差の分だけ後手が戦いにくそうです。

 

一手一手が難しいところになっていますが

稲葉八段の選択は△8六歩でした。

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(32手目 8六歩まで)

ここから実戦は

▲9七角△4三金▲3五飛△8四飛

▲8五歩△8二飛▲8六角△7四歩▲7五歩

と進みました。

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(41手目 7五歩まで)

 

途中、△8二飛を替えて△7四飛も有力で

以下①▲7五歩△5四飛▲2五飛△3二銀▲8六角

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(参考図 43手目 8六角まで)

先手は2筋に歩が使えると攻められそうなのですが、2八に歩がいてできません。

後手も飛車が少し窮屈で威張れるものではありません。

難しい将棋になりそうです。

△7四飛に

②▲8六角△7六飛▲8七金△7四飛▲4六歩

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(参考図 43手目 4六歩まで)

攻めは先ほどの変化よりもありそうな形ですが

8七の金の形になりますので、守りに不安はあります。

これも難しいですね。

 

さて本譜の進行に戻りましょう。

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(再掲 41手目 7五歩まで)

ここで後手の対応は①7三銀②6四歩③7五同歩などがあります。

①7三銀は7四歩からの継続で駒を活用していく手ですが

▲6五桂△6四銀▲7四歩と進むと先手の駒が捌けてきます。(形勢は互角)

②6四歩は桂馬を取ろうという狙いですが

▲7四歩△7六歩▲6四角△7七歩成▲同金△7三歩▲4六角で

後手の指し手が難しかったようです。(先手有利?)

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(参考図 49手目 4六角まで)

 

③7五同歩は▲同飛で

7七桂の頭も守り、歩越し飛車の悪形を解消できるので

先手気分の良い展開ですね。(互角~先手指しやすい)

 

本譜は③7五歩の進行で以降ジワジワと陣形を進めていく展開になりました。

 

このように27手目▲8四歩の展開は、△8四飛と歩を払うことが難しく

85飛と回るような展開を含みにしつつ指していくことになりそうです。

 

もう一つの実戦例を見ていきましょう。

・2017/10/10 順位戦C1 佐々木勇気宮田敦史

勇気先生の勇気流は持久戦調になった場合に▲4六歩と突いていることが多いです。

本譜も27手目は8四歩ではなく、4六歩を選択されていました。

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(27手目 4六歩まで)

この4六歩がなんなのかの説明は、

現在執筆中とウワサの勇気先生による勇気流解説本に

おそらく記載されるのではないかと期待していますので

ここでとやかく言うのはやめます。

実戦は陣形整備として△5二金、

そこで▲8四歩と時間差でいきました。

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(29手目 8四歩まで)

 

後手は陣形が不安定で角が向き合っていますので、

角交換から6一角や7一角の筋があり、7一の銀を動かせません。

△4四歩は▲4五歩の仕掛けもありますし、

6六角で8四の歩を安定させてから8八銀として陣形を良くしていく手もあり得ます。

2二銀から2三銀などを目指しますが、

本譜△2二銀に▲3三飛成!が成立します。

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(31手目 3三飛成まで)

△同銀▲8三角で

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(33手目 8三角まで)

次の▲6一角成を許すわけにはいきません。

△7二銀には▲同角成△同飛▲8三歩成で先手有利は間違いないですね。

本譜は

△5一金▲6六角

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(35手目 6六角まで)

次に▲4七角成~▲8三歩成が分かりやすい攻めです。

後手が△2四飛と攻防に飛車を打っても、

▲4七角成△2八飛成▲8三歩成で先手良さそうです。

かといって、▲4七角成に△8四飛上▲同角△同飛▲8八銀の進行も

先手陣が形が良く、馬も手厚いですね。

持ち駒の飛車も攻め駒として働きそうな形なので先手優勢だと思います。

 

もどって、28手目△5二金が失敗だったかもしれません。

では28手目は何を指せばよかったのか、

というのを次回の記事で考えてみたいと思います。

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(再掲 27手目 4六歩まで)

 

記事が長くなってきましたので今回はここまでにします。

 

 

横歩取り勇気流~85飛-25飛型④(先手急戦策25手目83歩)

どうも、タネタです。

横歩取り勇気流の序盤を勉強していく記事です。

 

横歩取りの出だしで17手目6八玉として先手が勇気流を明示した局面から

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(17手目 6八玉まで)

 

後手は△8五飛~△2五飛~△8五飛として

先手に2筋の歩を打たせる対策の序盤について見ています。

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(22手目 8五飛まで)

この局面から先手は▲3七桂として速攻の気配を漂わせ、

△8二飛と大人しく飛車を撤退するのが定跡の進行になっています。

仮に、この△8二飛を怠った場合の先手の指し手は

前回までの記事にまとめましたのでご参考ください。

横歩取り勇気流~85飛-25飛型②(後手の変化球24手目44歩) - 将棋序盤好きの小言

横歩取り勇気流~85飛-25飛型③(後手の変化球24手目42玉) - 将棋序盤好きの小言

 

今回の記事では△8二飛に

▲8三歩として、先手から勢いよく襲い掛かる順を見ていきます。

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(25手目 8三歩まで)

 

▲8三歩からの急戦策はプロの実戦で2局(2017年10月筆者確認時点)あり、

結果は先手2勝です。

私の棋力でソフトで解析したところ、

しばらく先手の攻めが続くものの先手にもかなり研究が必要で

先手最善の頑張りでも評価値は-250~+150あたりの互角

攻めを間違えるとすぐに評価値が-500ほどと

先手悪くなりやすいというのが現在の感想で、

プロの実戦でも途中は後手良しの局面があり

そこから逆転して先手勝ちという将棋でしたので

▲8三歩から攻勢を取りに行かずに、

▲3八銀から攻めを作っていくのが作戦としてはベターなように感じています。

 

そのためこの記事でも▲8三歩からの急戦策について

突っ込んだ部分の変化などにはあまり触れずに

実際の進行を基に少し変化にも触れる程度になります。

 

▲8三歩の急戦を採用されたい方は

第75期順位戦C級2組7回戦(11/24)長岡裕也五段-上村亘四段戦

の先手の攻めは研究のし甲斐のある棋譜のように見えましたので、

ぜひ一度ご覧いただくことをお勧めします。

 

それでは前置きが長くなりましたが、定跡の進行を確認していきましょう。

▲8三歩△同飛▲8四歩△8二飛として後手の飛車を一度止めてからの

▲7七桂が狙いの攻めです。

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(29手目 7七桂まで)

飛車筋を止めずに▲7七桂は

△8七歩で角を取られてしまいますので、左桂を活用するためには

飛車筋を止めるのは必要手だったのですね。

 

ここから

第76期順位戦B級1組2回戦谷川-斎藤慎戦では

△8七歩▲同金の交換を入れてから△4四歩と受けました。

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(32手目 4四歩まで)

 

先手は▲6五桂と跳ねだしていきますが、

△8四飛が金取りになるので▲8六歩と受けることになり

△4三金で

▲5三桂成を受けつつ、3四の飛車取りで受けることができました。

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(36手目 4三金まで)

 

ここで飛車取りを受けるなら▲3五飛なのですが

△3四歩から飛車を追った後に△6四歩で桂馬を取り切れれば後手優勢です。

そこでここでは▲3五歩として飛車にひもを付け、

△3四金▲同歩で角取りになることを主張するのが最善のようです。

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(37手目 3五歩まで)

この後、後手が△5二金として受けた手の評価が悪く

評価値はしばらく先手有利+300ほどとなりました。

 

替えて△3四金▲同歩△2四角が感想戦や検討では最善だとなったようで

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(40手目 2四角まで)

このあとの展開として、△5四飛と回る、

5三桂成で歩が切れたら△5六歩が厳しい

など、先手は攻めると反動が厳しく

先手後手ともに難しい将棋になりそうです。

 

次に別の実戦として

第75期順位戦C級2組7回戦長岡-上村戦の進行を見ていきます。

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(再掲 29手目 7七桂)

先ほどはここから

△8七歩▲同金を入れて△4四歩でしたが

この実戦では△4二角でした。

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(30手目 4二角まで)

ここから▲6五桂△3三歩と進んで

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(32手目 3三歩まで)

▲6五桂が5三成と1一角成の両狙いですが、

さきほどの4二角が5三をカバーしつつ3三歩で角道も止まるので

いったんは大丈夫です。

この後▲4五桂△6二銀▲3五歩と進んで

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(35手目 3五歩まで)

 

いつでも△3四歩と飛車を取る手はありますが、

1一角成との交換になります。

先手は香を持てば▲5六香が楽しみで攻めが繋がりそうです。

そこで後手は飛車を取りを楽しみに我慢を重ねます。

35手目▲3五歩の次の狙いは

▲5三桂左成△同銀▲同右桂成△同角▲5四飛△4二銀▲3四歩で

▲3五歩を活かして攻められそうです。

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(参考図 43手目 3四歩まで 評価値52歩;-200、64桂;-100 深さ20)

 

35手目の▲3五歩の局面に戻りまして

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(再掲 35手目 3五歩)

後手は△2二歩としていよいよ飛車取りを見せますが

以下▲2四飛△2三歩▲2六飛△8四飛▲5六飛と進みました。

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(41手目 5六飛まで)

先手の▲3五歩は飛車を取られたときに同歩と取り返すような手での攻めを見つつ、

2四→2六→5六と活用する順も見ていた

飛車を取られても取られなくても活用する一手だったようです。

 

しかしついに8四の歩を取られてしまい、

現局面は先手歩切れになっていますので

先手はこれ以上の小技を掛けることが難しいです。

 

以下△5二金▲6六角△8五飛と進み

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(44手目 8五飛)

先手の攻めが忙しい局面で

以降難しい部分もありましたがやや後手に分があるような進行でした。

 

現状、実戦ではこの2局のみで

まだまだ定跡の整備が進んでいないことと思いますが

一直線の変化や深い研究が為されやすいところだと思いますので

自信のある方は自分で深く研究して採用されても面白いかと思います。

 

筆者の現段階での認識は

▲8三歩は無理攻めではないものの後手に受けられて容易でない。

先手を持って指すなら、3八銀以降の攻め筋を研究したい。

という感じです。

▲8三歩の急戦策で面白い攻め筋があるよーなどあれば

ご指摘いただけますと幸いです。

 

以上で今回の記事を終わります。

次回は85飛-25飛の最後の記事になると思いますが

▲3八銀としまって満を持して先手が攻めかかる展開を見ていきます。

横歩取り勇気流~85飛-25飛型③(後手の変化球24手目42玉)

どうも、タネタです。
横歩取り勇気流の序盤について勉強していく記事です。

 

横歩取り勇気流の基本図から

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(17手目 6八玉まで)

後手が△8五飛~△2五飛として先手に2筋の歩を打たせる展開を選択した形から

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(23手目 3七桂まで)

プロの実戦では△8二飛としているのですが、

24手目に8二飛以外の手を選ばれた場合に

先手はどのように指していくのかを勉強していきます。

 

前回の記事では24手目△4四歩として▲4五桂を防ごうとする展開を調べましたが、

▲3五飛から飛車交換を迫るのが面白そうな展開でした。

横歩取り勇気流~85飛-25飛型②(後手の変化球24手目44歩) - 将棋序盤好きの小言

 

今回の記事では24手目に4二玉として53の地点と32の金を補強する手を見ていきます。

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(24手目 4二玉)

 

飛車が85にいて、45桂と跳ねだしていけそうな場合なので

ここで▲3八銀と一度自陣を整備するのも悪くはありませんが、

強く▲7七桂と跳ねだして、2枚桂を中央に使ってみたいです。

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(25手目 7七桂まで)

 

技巧2ではここで最善手△8七歩なのですが

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(26手目 △8七歩まで)

以下、▲8五桂△8八歩成▲同銀△5五角打

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(30手目 5五角打まで)

として角を重ね打った手が88での2枚替えと37の桂取りです。

しかしそこで▲8四飛と回った手が

▲8一飛成~▲7三桂不成という厳しい攻め筋を見せているので

88での2枚替えでは馬あたりで攻めることができ、

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(35手目 8一飛成まで;

次の73桂不成が馬金両取りになるので

△99馬▲73桂不成などから攻めることができそう)

 

37角成では攻め合い勝ちを目指せそうです。

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(37手目 7三桂不成まで;

34桂、73桂不成で挟撃型になり後手苦しそう。)

 

ということで26手目△8七歩は自然に飛車を取っておいて先手やれそうなので

26手目は△8二飛と引くのも仕方がないかと思います。

 

△8二飛~△8七歩が入るとさすがに困ってしまいますので

▲8三歩~▲8四歩と止めてから▲4五桂で気持ちよく攻めることができそうです。

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(31手目 4五桂まで)

 

飛車を8筋に残しても攻めが無さそうであれば、

77桂に対して飛車が横に逃げる手も考えられます。

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(26手目 5五飛まで)

 

ここで▲8四飛も普通の好手だと思いますが、

面白そうな手として▲5六歩も考えていきます。

(ご指摘があり5六歩よりも有力な手がありましたので

5六歩の内容の後にその手について加筆しました。)

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(27手目 5六歩まで)

一見怖い手なのですが、

例えば歩がタダなので同飛と取ると

45桂から先手の攻めが快調に決まりそうです。

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(29手目 4五桂まで)

以下△4四角などと角を躱すと

▲6五桂△8八角成▲同銀で

▲8三角が金取りと次の5三桂左成の王手飛車があって先手やれそうです。

 

ということで後手は五段目に飛車がいることが重要なので

△1五飛と逃げることになりますが

▲8四飛と回っておいてから▲4六歩で

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(31手目 4六歩まで)

 

先手は4五桂からの攻めの権利を手に入れたので、

右銀を48から活用していって好きに指すことができそうです。

一例として駒組の途中局面ですが

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(参考図 37手目4七銀まで;

47銀38金37桂が好形。以下58玉から68銀で左銀も活用できれば文句なし)

のように先手は指したい手が多くあるのに対して、

後手は飛車も角も右の金銀も動かしにくくて

先手が楽しく指せそうな局面ですね。

 

また、先ほどの局面で

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(26手目 5五飛まで)

▲5六歩に替えて、

▲6五桂と桂馬をタダ捨てする手も有力です。(ご指摘いただいた手)

△6五同飛が自然ですが、

▲3三飛成△同桂(金もなくはない)に▲8三角で出来上がりです。

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(31手目 8三角まで)

飛車金両取りを防ぐ手段がないので、桂損は回復できます。

 

一例として△6七飛成▲同金△6二金(5一金もあるが、8二歩に同銀は7二飛なのでと金で桂香を拾われる。)▲5六角成

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(参考図35手目 5六角成まで)
 先手は2一飛から香車を拾って、3筋を攻めるのがわかりやすい攻めで

後手にはそれに匹敵する確実な、あるいは速い攻めが無さそうです。

 

今回の記事はこれまでとします。
横歩取り勇気流に対して

後手が8五飛~2五飛として先手に2筋の歩を打たせる形では

18手目から△8五飛~△2五飛~△8五飛~△8二飛と

飛車をブンブン振り回すのが定跡となっていますが

最後の△8二飛を怠った場合には

①45桂、65桂と左右の桂馬を中央に活用する。

②84飛や85飛などと飛車先の逆襲or飛車交換を迫る。

ことを意識することで先手が比較的容易に優勢を獲得することができそうです。

 

次回の記事からは定跡の進行をプロの実戦譜を参考に

25手目▲83歩の先手からの急戦策を勉強していきます。